第2話

『今日はありがとうございました』

そう言って髪を風になびかせ笑う彼女、その光景に俺は‥


ピピピピ‥ピピピピ‥ピピ‥ガシャ

機械的な音で俺を起こそうとする時計を叩きつけて時間を見る

『もぉー朝か、くぁ‥』

朝起きて着替え身だしなみを整え軽い朝飯を作り食べる、いつも通りの朝だった‥

(それにしても俺が誰かの夢を見るとは、今日は雪か何かか?)

なんて思いながら支度をすませ家を出る今日はだいぶ天気がいいな、と考えていた矢先後ろから気配を感じ勢いよく振り向くと

『うぉ!!』

そこには数少ない友人の風間利寿(かざま としひさ)がいた

『いやー今日もダメだったか〜』

『利寿‥何度も言うが俺に飛びつこうとするな

迎撃しそうになるだろうが』

『わりーわりー』とまったく悪びれもせず言ってくるこの男、明るめの茶髪で、サッカーをしているからか細マッチョ体型、明るい性格で俺なんかとも関わってくれる変人

『?…今失礼なこと考えなかったか?』

『いや?』

こいつは変なところで勘がいいからな気をつけなければ

『…ふぅ〜ん、ま、いいや‼︎それより休日はどうだった?』

『なんら変わらないいつも通りの休日だったよ』

『そっか』

その時一瞬彼女の顔が過った…

『…お前本当はなんかあったろこの休日中』

本当に無駄なところで勘のいい奴だな

『………女の子を助けた』

しばらくしても返事が帰ってこず隣を見ると利寿がいなくなっていた、後ろを見ると愕然とした表情で固まっている利寿がいた

『どうした?大丈夫か?』

顔の前で手を振っても返事がないただの◯のようだと、くだらないことを考えていたら不意に俺の両肩を掴んで言ってきた

『大丈夫か?熱があるんじゃないか?!

今日はもう帰れ俺が先生に言っといてやるから‼︎』

どうしたんだ急に?そんなことを考えていた時

『おっはよ〜!』そんな声が後ろから聞こえた

『何してんの?二人して道の真ん中で?』

こいつは俺の友人であり利寿の彼女でもある柊 愛華(ひいらぎ あいか)ボーイッシュな髪型で天真爛漫、元気いっぱいと言ったような明るい性格をしている

『愛華!聞いてくれ‼︎仁が女の子を助けたって言ってるんだ‼︎』

『えぇ‼︎?ジン大丈夫??風邪はかかってすぐに対処しないといけないんだよ?』

『失礼な!俺が他人と関わりを持つことがそんなに不思議か!』

『『当たり前だろ』』

『うっ』

まぁーそうか教室では本を読んでいるか寝てるかの二択、友人といっても利寿か愛華以外誰とも関わらない俺が他人と関わったそれに助けたなんて行ったら異常を心配されるか…

『熱はない、俺も自分で驚いているんだ』

『そうか、まっ、お前が人と関わりを待とうとするのはいいことだな!』

『そうだね、これを機に友達ができるかもよ?』

『俺は別に友達が欲しいわけじゃないんだが‥

それに、お前ら二人がいれば十分だろう』

これは俺の本音だった、この二人意外に関わりを待とうとは考えていない。

『…デレた』『…デレたね』

『デレとらんは!』こいつらは〜〜‼︎

[ジンってこをいうこと平然と言うよね〜]

[ね〜、普段はぶっきらぼうに言ってるくせにね〜]

後ろでこそこそ話し始める二人

『もう知らん‼︎先に行ってるぞ』

『まぁ〜まてよ〜』


『じゃーまったね〜』

『あぁ』『また後でな〜』

愛華とは教室が違うため別れる、ちなみに俺と利寿は、2年1組で愛華は2年4組だ

ガラガラ

教室のドアを開けて中へ入る、席まで歩いていると

『おはよう‼︎』『おっはー』『おはようさん!』

挨拶をしてくる、

『おはよう!風間くん』

もちろん俺にではなく利寿にだが…

『おっす‼︎おはよう』

ガタガタ、椅子を引き席に座って早速本の続きを読み始める、しっかし利寿は大人気だな‥

ガラガラ

少しして教師が入ってきた

『よっす!おはよう、みなのもの!いい天気だな‼︎元気かー?』

この馬鹿みたいに元気な教師天真 京子(てんしん きょうこ)レベル36、婚活中

黙っていればとても綺麗な教師ではあるんだがいかんせん黙ってられない残念な教師

『戸条 仁…お前今失礼なこと考えたろ?この後教務室に来い‼︎』

『えぇ…』

そんな会話を聞いて一人利寿だけはクスクス笑っていた


『先生俺は無罪です』

『じゃー何考えてた?』

『……レベル30なのによくやるなーと』

『ふん‼︎‼︎』

『うっ』

『次言ったらマジビンタな?』

『了解です…』

頭が吹っ飛ぶかと思うぐらいのデコピンをされてしまった、女性の年齢のことは思うだけでもよくない、いい教訓になったな〜

『…またくだらないことを考えてるな?』

『……めっそうもありません』

俺の数少ない知り合い達はなぜこうも鋭いやつばかりなのだろうか?

『まぁーいいだろう、さて本題だが』

『?本題があったんですか?』

『話の腰を折るな、黙って聞け』

『わかりました』

ただ単純に疑問に思ったことを言っただけなのにとてつもなくドスのきいた声で言われてしまった

(うーんこの迫力、うちの師匠並だな逆らわないでおこう)

『もう一年もたつがうまくやれているか?風間や柊と仲良くしているのはよく見るがそれ以外のやつとつるんでるのを見たことがないからだいぶ心配なんだよな〜お前』

この質問は単純に驚いた、この先生に俺を心配する心があるとはだいぶ意外だ

『‥お前今意外だ〜なんて考えたろ?』

そお言って手を構える先生

『ちょっ、ちょっと待ってください‼︎確かに思いましたが意味が違います!俺のことを心配する人がいるとはっていう意味です!』

そう、基本俺の心配をする人はあんまりいなかったため心配されて意外だったのだ

『は〜お前なぁ、私のことをどを思っているのか知らんがこれでも一応教師だぞ?生徒の心配ぐらいする。』

『…そうですか、大丈夫です友達は二人もいますから』

『二人は"も"なのかはよくわからんが大丈夫ならいい、何かあれば相談しろ。』

『ありがとうございます。』

こんなふうに心配してくれるとは、結構いい先生なのかもしれない

『うむ!ところで好きなやつはできたか?』

(前言撤回本当にいい先生なのか?)

ニヤニヤして聞いてくる先生を尻目にそお思ってしまう

『はぁ〜〜〜、いません』

『なぁんだつまらん、面白くない!』

その言い分に少しむかっとしてしまいつい

『人の恋路より自分の心配した方がいいんじゃないんですかね?』

なんて口走ってしまった、その瞬間顔面に強い衝撃が襲ってきた

『次はぐぅだ、覚悟しとけよ』

『すみませんでした………』


『失礼しました』

『おう!なんかあればまたこい』

ガラガラ

『よっ!』

戸を出てすぐ利寿が待っていた、わざわざ待っていたのか?暇なのか?

『何だ〜その顔は?せっかくこの俺が移動教室の教科書を持ってきてやったというのに』

ニカッと笑いながら教科書を持ち上げる利寿

(流石に悪かったな)

『すまんかった、教科書サンキューな』

『ふ、いいってことよ!』

本当にいいやつだ

『行こうぜ‼︎』

『ああ』

特別党の教室まで行き他愛のない会話をしながら歩いているとふと、目の端で人影を見つけた、そこにいた人を見て驚愕した。

『何で‼︎あの人がここに‼︎?』

『どした〜?』

昨日助けた彼女、如月椎奈の姿があった

『お〜、【鉄壁の女王】じゃん、何?お前も彼女のこと狙ってんの?』

『【鉄壁の王女】?何それ?』

『え?お前まさか、、彼女のこと知らないの?マジ?え、マジで?』

信じられないものを見たような顔で俺のことを見つめる利寿。

『マジか〜流石のお前でも彼女のことぐらい知ってると思ってたんだがな〜』

『有名なのか?』

『有名も有名、ちょー有名学年トップクラスの成績にあの大和撫子風な容姿、さらにお淑やかで器量よしときたもんだそりゃーモテてなぁー、告ったやつは数知れずそのことごとくを完全拒否その取りつく島もない様子から着いたあだ名が【鉄壁の王女】』

『へぇー』

彼女にそんな渾名があったとは、昨日の彼女からはあまり想像できないな〜

『ん?でも何で彼女のこと知らないのに、知った感じの反応したん?』

『あぁ〜いや〜その〜』

俺が言い淀んでると

『悲しいぜ、俺に隠し事だなんて、ぐすん』

見事なまでの嘘泣きをしてくる利寿、嘘泣きだとわかってても流石に少し良心が痛む…

『はぁ〜、わかったよ特に隠すことでもないしな彼女なんだよ昨日助けた女の子って』

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