(三)
一晩中むしゃくしゃしていたが、誰にでも思いつくようなフレーズだったってことだと自分に言い聞かせ、何とか朝ベッドから起き上がった。登校すると、友人の美穂(みほ)がにこにこと迎えてくれた。
「おめでとう」
囁き声ながら、はしゃいでいるのが伝わってくる。
「ありがと。でも奨励賞だったし」
「それでも凄いよ。奨励賞の中じゃ最年少だよ」
「梨沙は今の私たちの歳で漫画家デビューしてるんだよ」
「そりゃあ、あの人は別格よ」
何だ、褒めておいて。
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