第19話 ヘビvsクモvsトカゲ

異種族恋愛格闘戦、ファイッ!

とはならなかった。


『こんにちは、美しい人』

「…」


『この前は怖い思いをさせてしまって申し訳ありませんでした。感情に任せて貴女を困らせたことを恥ずかしく思っています。貴女が安心して眠れるように、もうあんな強引なことはしません、約束します。』

「…」


『お詫びに、出会った湖の畔に、砂漠の祠を作っておきました。南国の砂漠の砂をたっぷり敷いて、保温魔法陣で砂漠の気候に合わせています。3色のウロコをかざさないと開かないようにしたので、僕でももう入れません。埋め合わせには全然足りませんが、受け取っては頂けませんでしょうか。』

「美味い話すぎて胡散臭いんだけど。」


『そうですね、不徳の致すところです。ユキグモである貴方が確認して下されば、彼女もきっと安心すると思います。』

「え、俺?」

『残念ながら、今の自分に説得力がないのは自覚しています。彼女は貴方のことを信頼しているようなので、彼女がそれを望むなら、僕はそれでも構いません。』

「…」


(ネッター、ネッター、俺ヤバい!)

(内緒でどうしたの?)

(ユキグモって魔力高いって意味だよね?)

(そうだと思うけど?隠し魔法陣トラップとかすぐ分かるよね)

(ユキグモって普通に拉致監禁するよ!)

(え?)

(2人っきりでこもったら猫にしばかれちゃう!)


「まあまあ、みんなで見せてもらってから決めたら良いんじゃないかな。みーちゃんも分かってた方が安心でしょ?」

「うんまあ、湖にポータルあるから、何かあったらすぐ行けるし…」

「塔でご飯食べて祠に寝に来てもいいし、逆でもいいし、安全地帯があるのはあっくんにとって良いんじゃないかな。」

「ユキグモ迷彩掛ければ大抵の小物は来ないからゆっくり昼寝もいいかもな!」


「よし、新築内覧会だ!」

「何それ?」

「え、新しいお家作ったらお披露目するでしょ?」

「絶対しない。むしろ隠すよね?」

「うーん、家族には見せるかなー。」

「まさかの種族差。確かに群れ生物と単独生物で生態文化が異なるのは当然で…と言うことは、あれも…」

「学者社畜モード入っちゃった。おーい。」

「ガクシャチク?よくわかんないけど置いてくよー」


『(楽しそうで何よりですね。貴女に変換魔法の祝福を。いつでも彼らの言葉が分かるようになりますよ。ほんのお詫びの気持ちです。)』

「(…ありがとう)」

『(!声まで麗しい…。貴女と出会って浮かれてばかりの私をお許し下さい…っ。)』


「あの二人、ちょっとくっつきすぎ?」

「両想いなら良いんじゃないですかね。」

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