第18話 森で生きるために
「アレクサー。あれがいつもの木の実。赤い色が黄色になったら食べ頃。」
「アレクサー。これは宝石熊の爪の痕。危ないから、この辺は来ちゃダメ。」
「結構いい保護者かも。」
「うん、ユキグモは上位捕食種だから、小型動物が来なくて安心だね。」
「お散歩も大分板に付いてきたね。」
「砂漠ではレアなウロコ色も見事に保護色になってるし。意外と森でも生きていけそうな感じが出てきたよね。」
「後は寝床だね。まだ夜の森は怖いみたい。月明かりも星明かりもないし。」
「開けた場所は湖くらいしかないからなぁ…。」
「あそこはツバサヘビの巣だからちょっと。」
「いや巣って。一応神話生物の住処ですよ。神域らしいですよ。」
「変態ストーカーの棲処じゃなくて?」
「僕アレに勝てる自信ないから言わない。」
「それにしても、翻訳機まずまず問題なく動いてるね。」
「思ったより精度がいいよ。データベースが自動収集、自動学習だからかな。」
「ゆっくんたちも楽しそうだし、すごいね。」
「うんうん、ただのブラック職場じゃないんですよ。元ボスのワンマン力が凄すぎて能力的について行くのが厳しいだけで、最先端ラボなんてどこもそんなもんだと思うよ。」
「つまり最先端の超ブラックってこと?」
「なんか語弊があるけど否定できない…。」
『こんにちは』
「うわ!」
ツバサヘビが現れた!
『その翻訳機をベースにさせてもらって、変換魔法を少し改善しました。いかがですか?』
「え、なんか丁寧じゃないですか?」
『イマドキの単語にアップデートして、柔らかい感じにしました。威圧的なのは流行らない時代のようなので。』
「相手に歩み寄る姿勢は好感が持てると思います。」
「うん、最低ラインはOK。」
と言いつつも、みーちゃんはまだ警戒体制を崩さない。
『もう少し砕けた感じが良いかな?』
「いや、初対面だとそのくらい丁寧でも良いと思いますよ。」
「大事なのは行動だから。いきなり求婚拉致はあり得ない。」
『反省していますよ。だから、直接彼女の前ではなくこちらにお邪魔したわけで。』
「僕としては本人の気持ち次第だと思うので、本人が嫌がることをしなければ、敵対するつもりはありません。」
さりげなくみーちゃんをけん制しながら言う。
『面目ないです。自分、強いものが正義の時代が長かったので失敗しちゃいました。ご指摘を活かしてもう間違えないですよ。』
「大事なのは行動だから。口だけじゃなくて態度で示してあげて。」
みーちゃん2回言った!神話生物に信用なさすぎる、流石異世界人。
『ありがとうございます、誠心誠意口説いてきます。』
こっわー。異世界恋愛テスト、始まりました!
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