第16話 胃袋を掴んだもの勝ち
結局、あっくんはあのツバサヘビのことどう思っているんだろ。
種族を超えた恋愛をするのかな。
それとも種族を超えない恋愛をするのかな。
と思っていた時期もありました。
ええ、そもそも恋愛しない選択肢もありますね。
「トカゲ?俺の隣で寝てるぜっ!」
「ぷ。それ言ってみたかっただけでしょ。」
「言ってみたいよな!」
あっくんはゆきちゃんのもふもふボディを枕に寝ています。
うん、分かる、超気持ちいいよね。うらやましいぃ。
ドンガラピッシャーン。
塔に特大の雷が落ちた。
急に嵐が来たみたいだ。
「嵐のときに安全な寝床があるってサイコーだな!」
「うん、ここ雷が動力だからどんとこいだよね」
カツカツカツ!
「どうしたの、足音立てて来るなんて珍しい」
みーちゃんが不機嫌な顔でやって来た。
「これだ…。」
移動ポータルを見てイラッとしている。天気悪いからかな?
「盗み聞きするなんてサイテー!変態!ストーカー!好きなら相手をもっと尊重しなよ!束縛男!相手を信じられないなら恋なんかするな!どヘタレ!おとといきやがれ自己中ヘビ!」
(ぐはっ。何か心が痛いんだけど。にゃんこ先生どうしたの?)
(ヘビがポータル経由で会話拾ってるってことかな?)
雨音が一層強くなった。
「あ、ツバサヘビって嵐を司るとか言い伝えなかったっけ」
「それだ!あいつトカゲが隣で寝てるって聞いてショックで雷落としたんじゃね!」
「あー。これって涙雨だったんだ…。」
「で、猫に盗み聞きしてたのがバレたと。」
「それで雷を落とされ返した、と。」
「誰うま。」
「どうしようか。あのヘビ締めてこようか。」
「みーちゃん、落ち着いて、落ち着いて。可愛い尻尾がブワッてなってますよ。」
「落ち着け落ち着け、悪気はなかったんだ多分。美味しいご飯作るから仕切り直そう。」
「え、ゆきちゃん料理するの?」
「ネッターの料理とは違うかな。美味いけど。まあ見てな。」
「ユキグモ料理講座〜」
パチパチパチ。
「まずこちらの森ミミズを〜スパッと輪切りにします〜」
「切った風魔法を消さないで、切り口をしばらく押さえます〜」
「軽〜く魔力を流して、体液を固めます〜」
「はいどうぞ〜。一口の大きさに切るのがポイントです。」
「わっ!口の中でじゅわって溶けた!これいいね!」
「だろ?」
「すごい、あっくんカルチャーショックを受けた顔してる」
「料理ができる男はモテるらしいぞ。」
「うん、これはすごい。クラっと来ちゃうかも。」
「おー。にゃんこ先生のお墨付きでました、星3つ!」
「ふっふっふーん。トカゲ、メシの顔してる」
「ぷ。それ言いたかったの」
「言いたいよな!」
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