第15話 スタッフが美味しく頂きました

塔入口の防犯センサーが反応した。

すわ侵入者か!と思ってカメラを確認すると、

そこには巨大な葉っぱに盛られた森ミミズ。

あっくんは少し嬉しそうだ。


次の日は木の実。

その次の日は幼虫。

あっくんは大分嬉しそうだ。

時々感極まって腕を広げそうになっている。


うん、獲物を獲ってくるのって甲斐性だもんね。

猫先生、どうかな?まずは一次審査合格?

「うん、基本は押さえてる。会うくらいならいいんじゃない。」


と言うわけで、湖再び。


トビトカゲは両手をバッと上げた!

トビトカゲは飛行膜をはためかせて踊り出した!


「え?何」

「きしゃー」(感謝っぽいな)

「ぴゃん」(御礼して偉い)

「え、わかってないの僕だけ?」


今日は湖畔で軽く水遊びさせて、もらった木の実と幼虫でおやつ。

「あれ?君たちも食べるの?食べていいの?」

「ぴゃー」(お友達アピールしとくね)

「き、しゃー」(ああ、みんなで分けたアピールするのか、策士だな)

「え?僕も食べた方がいいの?木の実1個いただくよ?」


トビトカゲは湖をチラチラ見ながら気まずそうにしている!

お、これは脈アリか?


トビトカゲは両手をバッと上げた!

トビトカゲは飛行膜をはためかせて踊り出した!

湖がさざめいた!


「あ、そこにいるんだ」

「ぴゃん!」(撤収!)

「き?しゃ!しゅー」(え、戻る?いくぞぼさっとすんな)


はい、戻りました。

「君たち何でそんなに連携取れてるの?」

「一緒に狩りしてれば大体わかるって」

「狩りの時って喋らないから動きの雰囲気で察するよね」

ぐぬぬ。なんか疎外感。元職場から携帯翻訳機借りるかな。


「で、何で帰ってきたの?」

「いい雰囲気になりそうだったから。まだ早い。」

「えー。厳しくね?」

「最初がアレだったから、厳しくいかないと。」

「そんなものなのかなぁ。僕彼女作る自信無くなってきた。」

「まあ、お前のこと愛してくれるヤツ捕まえればいいんだよ。」

「それができたら僕ここに篭ってないよ。」


おかしいな。何だか分が悪いぞ。

みんなで協力して俺様ヘビを溺愛執事にクラスチェンジする話じゃなかったっけ。

違ったかな。


「まあ、このくらいでめげるようじゃ、種族を超えた愛なんて無理だから。」

「種族っていうかウロコ類の真祖の蛇ですけど。」

「神に見初められたらビビるのが普通だと思う。」

「つべこべいわない」

「「はーい」」


にゃんこ先生、厳しい。触らぬネコに祟りなし。逆らわないでおこう。

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