第13話 一目惚れの衝撃は落雷のよう

残念なお知らせがあります。

あっくんはお風呂好きでした。


砂漠では水は貴重。


浴びるくらい水があって、

水に入ると体が冷たくなって、

温まるためにお湯に入るといい気持ち、


と言うスパリゾート並のサイクルで

湯水の如くジャブジャブと水を堪能する仕組みに

ハート鷲掴みされて骨抜きになったトカゲがコチラになります。


「だからトビトカゲって残念可愛いと言われてしまうんだよ」

「本人幸せそうだからいいんじゃない?」


そんなこんなで本日は森の奥の小さな湖に来ました。

森ミミズの狩りが半分、湖を見せたかったのが半分。

良さそうだったらここマーキングして菜園から飛べるようにしよう。


トビトカゲは湖と遭遇した!

湖の大きさ!

トビトカゲは圧倒されている!


トビトカゲのターン!

トビトカゲは両手をバッと上げた!

トビトカゲは飛行膜をはためかせて踊り出した!


「まあそうなると思った。」

「ぴゃーん」(テンション上がってるねー)

「きしゃー」(ここ気流あるから飛べると思うぞ)


おおう。久々に外に出たから忘れてた。異種族言葉通じない問題。

塔にいると便利翻訳が常に働いてるから忘れてしまうね。

久々に2人の生声聞いたなぁ。


トビトカゲのターン!

トビトカゲは風を掴んだ!

トビトカゲは湖を飛んだ!


「え、何か伝わった?」

「きしゃーしゃー」(飛ぶジェスチャーしたの気づいたな、意外と賢い)


トビトカゲは風を掴んだ!

トビトカゲはクルクル踊りながら飛んでいる!

産毛ウロコが陽光に煌めいて虹のようだ!


「ぴゃん」(楽しそー)

「しゃー」(ここキープけってーい)

「とりあえずマーカー設置しとこうっと」


ばしゃーん!

派手に水飛沫が飛び散る。


え?

あっくん落ちてないぞ?

あ、戻ってきた。ゆきちゃんのお腹の下に隠れた。うらやましい。


じゃなくて、何の水音?


「ぴ、ぴゃ!」(あ、蛇!)

「きし!しゃー!」(え、あ!回収頼む!)

「ぴゃ!」(了解!)


え?え?君たち何で連携取れてるの?


「ぴゃん!」(撤収!)

「しゃ!しゅー」(うん戻ろう!オラぼさっとすんな)


戻ってきた。マーカーまじ便利です。開発した人は偉い。

「で、コレ何?ゆっくん知ってるの?」

「うん、多分ツバサヘビ。神話生物。本当にいたんだ。信じられない。」

「敵?」

「いや、危害はないと思う。助けるといいことあるって言われてる。」


「ちょっと君たち、真面目な話をしているところすみません、何で塔の外で言葉通じてるんですか」

「通じてないよ?」

「いつも一緒に狩りしてるから何となくニュアンスで」

うわ。いつの間にか言葉が要らない関係になってる。うらやましいぃ!


「で、これ伝説のツバサヘビでは?」

「うん。神話のツバサヘビだと思う。」

「翼のある蛇だねぇ。湖の生き物?」


「森の奥に棲むと言われる森の守護神で、見るといいことがあるらしいよ」

「湖に棲むかは知らないけど、水浴びとかするらしい。」

「何で出てきたんだろ。連れてきて良かったの?」


『美しすぎる…』


うわ!魔力振動で直接脳に!

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