魔導士とツヤツヤなハーレム

第11話 地下オークションは踏み込まれる

竜。それはロマン。

魔法を使える者なら誰もが一度は憧れる、

強くてカッコいい空の支配者。


飛びトカゲ。それは愛玩。

魔法を使える者なら誰もが残念そうに目を伏せる、

竜に進化しなかった空飛ぶトカゲ。


「と言うわけで、密猟されて違法転売されていた所を保護されました。」


竜をペットにするのは無理なので、飛びトカゲはウロコ好きに一定の需要がある。

その中でも、今目の前にいるのは南国砂漠トビトカゲ。

砂漠のような乾燥して強い風が吹く所に住んでいる。


この辺でも最近雪が降らなくなったので、環境を整えれば飼育できるらしい。

が。まだ生態研究段階で、無許可飼育禁止です。アウトー。


珍しいことにこの個体はウロコが3色、いわゆる三毛だ。毛じゃないけど。

普通は砂色が一般的で、こんな森の緑に地の茶色、陽射しの橙なんて見たことがない。

少し離れたオアシス付近に住む南国水トカゲはトロピカル熱帯魚的な色合いなので、

いつかどこかで愛が生まれたのかな。


そんなこんなで珍しい毛色(毛じゃないけど)の付加価値も高く、

地下で色々悪い取引がされていた所を辺境騎士団に踏み込まれたようです。

騎士団の本命は密輸武器だったらしく、飼育に困って辺境ラボに相談が行きました。

トビトカゲだけにアンダーグラウンドに押し込めちゃうダメだろうよ。


「えっトカゲ?飛ぶの?羽ないけど?」

みーちゃんは初めて見るみたい。

「両脇を広げると飛行膜が見れるよ。」


「え?食べ…れる?食べないヤツ?何食うの?」

ゆきちゃんも普通のトカゲとちょっと違って戸惑ってる。

「観賞用だから食べちゃダメ。餌は砂漠ミミズだったかな…どうしようかな」


3人でじっとトビトカゲを見つめる。

トビトカゲが緊張しているのが伝わってくる。

これはもしや!


トカゲは突然バッと両腕を上げて、飛行膜を最大限に広げた!

膜の産毛ウロコがキラキラして綺麗だ!

トカゲはそのまま謎の踊りを踊った!

膜の産毛ウロコが光を乱反射して煌びやかだ!


みーちゃんの攻撃力が34下がった!

ゆきちゃんの行動力が19下がった!

僕のハートに2828のクリティカルダメージ!ニヤニヤが止まらない!


「と言うわけで、身の危険を感じると謎の踊りを踊って激しくアピールし、相手の殺る気を削ぎます」

「うわー。面白い生き物だね。何か可愛く見えてきちゃった」

「ねえ、この子飼っていい?」

「もううちの子です。あっくん、よろしくね。」

「あー!勝手に名前つけた!ずるい!」

「よし、ご飯探してくる!猫、行こう!」

「待ってー。何がいいかな。虫かな。木の実かな。」

「持てるだけ色々取ってこよう!」


トビトカゲって魅了魔法使うんだよね、って飼ってる人みんな言う。


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