第5話 暴言と爆弾発言
プルルルル。プルル
「ってめえ!今どこにいる!ふざけんなよ!今更許してもらえると思うなよ!逆探知でも何でもして絶対見つけてギッタギタにして魚のエサにしてやるからな!首を洗ってそっから動くなよ!てめえのお気に入りのユキグモに微塵にさせてやる!」
「ヤバいです」
「ヤバいのはてめえの頭だろうが!寝ぼけてんじゃねーぞ!お前がサボった仕事山積みなんだよ!片付くまで寝るひまなんかあると思うなよ!」
「例の獣人が位相シフトで森の廃墟出身で翻訳機起動して喋りました」
「は?」
「音域調整する必要があるみたいです。何もない壁いじってたんで、視覚も波長調整の可能性があります。ヤバいです。翻訳魔法革命します。」
「へ。…はぁ!?マジか?」
「本当です。ヤバいです。特許じゃ済まないです。」
「ちょっと待て。お前今どこっつった?」
「辺境の森の廃墟です。あ、来てもダメですよ。彼女セキュリティ起動しましたから」
「行かねーよあんな辺鄙なとこ。それより森の廃墟出身って?あれの使い方分かるってことか?」
「はい、使いこなしてました。説明聞いたことがあるとか」
「そっちもヤバい案件じゃん。お前ナニ引き当ててんの。大当たりじゃん」
「助けてほしいです」
「どうあがいてもお前じゃ手に余るじゃん。俺が利権確保しないと守れないじゃん」
「です」
「…考えるから5分待ってろ。かけ直す。」
気づいたら辞めた職場に報告していた。
ああ、マズったかな。居場所バラしちゃった。
後先も利害も何にも考えずに、ただ、誰かに話したかった。
こんなの抱え込めないよ。俺小市民だもん。
プルルルル。プルルルル。
「はい」
「例の獣人、うちの客員研究員にする。住所はここでいい。保証人に俺の名前使っていいから、書類作れるな?」
「あ、はい」
「研究フィールドをそこ周辺に設定して、期間未定で立入調査に設定しろ」
「はい」
「辺境の城ラボトップに連絡入れとくから、辺境ラボの遠征拠点扱いで移送機材とか連絡網とか貸してもらえ」
「はい」
「あとは…お前のお気に入りのユキグモ暴れてんぞ。いつもだけど。」
「ええっ!ああやっぱり昨日生餌あげてないから…。ゆきちゃあん…」
「あいつは辺境ラボからの生態調査依頼だから、そっちに連れて行ってもいいぞ」
「え!本当ですか!」
「ああ、こっちはしばらく翻訳魔法の研究にかかりきりになるから、生態研究系は一旦全部ストップする。森の廃墟周辺で研究続けられるようなら進めてていいから。報告は辺境ラボに上げろ。お前も辺境ラボの客員にしてもらって、そこのトップ名義入れてレポート出せばあっちも悪い顔しないだろ。話つけとけよ。」
「は、はい!」
何故か話が良いようにまとまった。
ワンマンブラックな職場だったけど、ワンマン力ってこうやって使うんだ…。
これはこれで確かに才能だ。小市民には真似できないよ。
ああーゆきちゃん来たら癒してもらおう!楽しみ!
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