第4話 みーちゃんと塔の秘密
みーちゃんは新しく開いた部屋に迷わずに入って行った。
入った先でも壁をぺたぺた。何やらいじっている。
キュイーン
何かの起動音。
高い音から低い音へ。
無音。
そして、
「聞こえる?」
みーちゃんの口パクに、音声がついた。
う、動けない。理解が追いつかない。
「やった!ラッキー!超ラッキー!伝わってるでしょ!」
「翻訳アプリを起動したの!単語だけじゃなくて音域も合わせてくれるの!」
「ここねぇ、雷の塔っていうの。最新設備の見本市。動力は雷で、避雷針で集めて貯めておくの。本当は10階建だけど、3階より上はステルスで風景を投影してるから透けてるように見えるの。万博の時に来たんだ!説明全部受け売り!」
みーちゃんははしゃいでいる。
もう何も耳に入ってこない。腰が抜けた。
しばらくして正気に戻った頃、あちらも落ち着いてきたらしかった。
「はじめまして」
「はじめまして」
とりあえず挨拶した。みーちゃんなんて呼べない。
ああ、俺のモフモフ人生計画…。
「ミーシャと言います」
うお!みーちゃんじゃん!なんてミラクル!
「皆さんには助けてもらってありがとうございました。」
「いえいえ。」
グサーん!良心にクリティカルヒット!
「位相シフトなんて実在すると思ってなくて、もうダメかと思ってました」
ん、位相シフト?違う世界ってこと?まさかーん。
「こんな、翻訳機のあるところまで連れて来ていただいて、本当に助かりました。」
グサグサーん!良心のライフがゼロですよ!
「俺もビックリしています。自分ら解析できていなかったので」
「あ、私で分かることなら説明します。結構ココ、便利設備が山盛りなので!」
「居住エリアの部屋とか見ると私達の生活がわかりやすいですよ多分。何ならしばらくここに住んでもいいですし。確か食堂エリアに自動調理器や菜園への移動ポータルあったと思いますし。水があればお風呂も入れますし。」
「水なら僕出せます。鍵とかかかるんですか?」
「入口ドアロックと、個別部屋ロックかけられると思います。確かシェルター強度があるとか言ってた気がします。制御ルームのシステム見ておいて良かった〜。」
「実はですね、今日は外の調査拠点で野営の予定だったので、差し支えなければその居住エリア?に泊まっても良いですよ。僕ら入ったことないのでアレですけど。」
もうね、完全に敬語ですよ。
ああ、俺のモフモフ人生計画…。
とりあえず、入口セコムしてもらって、水回りっていう所に給水魔法陣仕込んで、
「ひゃーさすがモデルルーム!ベッドふっかふかー!」
ふかふかのモフモフはご機嫌で、
俺は寝るぜ。
よく分からんけどなぜか建物の中に庭があったので、
俺は野営セット設営して寝ます。
もうむりぽ。
「あ、お風呂使います?出してもらったお湯で何ですけど」
「いえいえお気になさらず。僕こっちの野営セットの方が落ち着くんで大丈夫です」
「いつでも言って下さいね!ほんっと感謝してます!恩人ですから!」
「いえいえ、今日はもう遅いので休みましょう。ではまた明日。」
「おやすみなさーい」
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