第8話 本当に抱きたいのは

翔と真里亜から連絡はない。

『用事がなければかけてこない』

『他人だから』

僕はずっとそう思ってた。


僕はまたマッチンクアプリで女の子を呼ぶと、来たのは…。


―――――――――「また?」

「私じゃ悪い?」

「俺に興味ねーやつは要らない。」

「……もし、揺らぎ始めてるとしたら?」

「そんな簡単に人の感情が揺らぐわけねーだろ。」


すると、愛穂が手話で僕に伝えてきた。


『私はあなたの心の奥を見た。あなたがそれを出せるのは私だけ。私はそれを受け止めたいと思った。これって立派な恋でしょ?』


『「立派な勘違い」』そう返すと、


愛穂は白昼堂々と僕に少し背伸びしてきた。


柔らかくていい匂いがする。

僕は……また不覚にも抱きしめてしまった。


「あなたも私に恋し始めてる。」


そう言われて僕は愛穂に優しく口付けた。


「……胸が苦しい。こないだ『翔にしか興味無い』って言われてからお前としたくてたまらない。」

「したいの?してほしいの?」

「……いっぱい焦らされたい。」


「……好きなんだよね?本当は。」

「そう。泣くほど焦らして欲しい。」

「……可愛い。」

「でもいい。」

「どうして?」

「虚しくなるから」

「明確に感情が欲しい?」

「……真里亜からいっぱいいじめてほしい。」

「してくれないの?」


「わかんない。翔を知って、愛穂を知った。一番僕を包み込んでくれるのは翔。でも、一番頭がおかしくなりそうなのは…愛穂。もしね、、愛穂が僕を好きになってくれたら、いっぱい愛情くれたら…幸せなのに…。」


「どんな風にほしい?」

「……。」

「無駄じゃない。私は一番遠い人間。煩わしさもない。」

「……」


僕は黙って愛穂の手を引いて近くのホテルに入った。



――――――――。


部屋に入るやいなや、愛穂を子供のように抱き上げた。


愛穂は上から僕にキスした。


「愛穂……俺を愛してよ。翔じゃなくて俺を見てよ。」

「…フフ、出てきた出てきた。本当のあなたが。」


「……怖い。さらけ出すのが。だって俺…」



愛穂を抱き上げたままベットへ腰かけた。


「だって?」


「いっぱいしてくれないと好かれてるかわからない。」

「……その捨てられた犬の目。ぞくぞくする。」

「……でもどうせ翔でしょ?終わったら虚しいだけ。してくれてる愛穂の目の奥に翔が見える。……まさかあの日、お前…。」


「……。」

「もういいや。」


――――――お金だけ置いて一人で部屋を出た。

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