第7話 翔にしか興味無いから

「検査終わって問題無かったら帰っていいよって先生言ってたよ」と翔。


「真里亜は?」

「うん?売店。寂しい?」

かけいるから大丈夫。」


翔は微笑んだ。


「久しぶりだね。りょうが僕を『かけ』って呼ぶの。」

「…ダメか?ならいい」

「そのツンケンやめなよ。可愛くないよ?」

「可愛い役はお前だろ。」

「別にどっちでもいいよ。稜は僕に壁を作りすぎ。言わなかったけど。真里亜ママにもだよ。」

「…だってさ。」

「何?」


「俺は翔を守る役。だからツンケンしてないと守れない。それに真里亜に全力で甘えたら真里亜が困るだろ。だから我慢すんの。」


翔は寝ながら話す僕を上から見下ろして僕と目を合わせる。。


「やめろ…」

「なんで?いいじゃん。減らない。減るような物ついてないでしょ。」

「使い物にならないくらいちっちゃくなったらどうすんだよ。」

「逆でしょ?手に負えないくらいになるんでしょ?」


「………。」

「何?何言いたいの?」

「…言わない。言いたくない。」

「真里亜なら言えるのに?なんで僕には言えないの?僕が男だから?僕が年下だから?……僕は真里亜には一生勝てない?」


「………黙れ。それ以上喋ったら殺す。。」

「何押さえ込んでんの。もういいよ。…もういいんだよ?」


僕は下から翔を引き寄せてキスした。

そして…聞こえない方の耳に囁いた。


「お前のネチコさが好き。ねばっこさが好き。愛穂まなほとしてたらお前がよぎった。お前に会いたくなった。けど、、多分誰にも理解できないからもういいんだ。」


「ごめん…そっち全く聞こえないんだ。」

「わざと。」

「え?」

「わざと。」


「……愛穂まなほって、言った?」

「知ってんのか?片耳聞こえねー奴。」

「知ってるも何も高校の時の友達。」


「……マジか。」

「なんで知ってんの?」

「アプリで知り合った。」

「マッチンクアプリみたいなの?」

「そう。面白そうだったから会ってみた。」

「……そう。どうだった?楽しかった?」


「むかついた。めちゃくちゃ焦らしてくるから。」

「したの?その、ちゃんとしたの?」

「してない。途中でお前顔が浮かんで…お前にして欲しくなって逃げて帰ってきた。」

「……それが一昨日?僕にLINEくれた時?」

「……そう。」


「ごめん…すぐ見なくて。求めてくれてたのに。」


僕は起き上がって、翔を座らせた。


「……可愛いなお前は。」

「んっ……」

「耳弱いもんな…?可愛いな…。翔…。」

「……稜太…大好き。。稜太……大好きだよ。」

「俺も。お前の事大好きだよ。」



「稜太……」

「うん?」




―――――――――――― 一週間後。


「……。」

愛穂まなほ

「うん?」

「お前、翔知ってる?左耳聞こえねー可愛い男。」

「知ってる。この間連絡来た。怒ってたよー。稜太んとしたって。」

「仲悪くなりそう?」

「ううん。そんなじゃ私と翔は壊れないから。怒ってたけど、『あんたにかなうわけない』って言ったら落ち着いた。」


「あいつも可愛い顔して負けず嫌いだからな。」

「そうね。」

「………。」


僕は愛穂を抱き寄せた。

女の子の華奢な体がたまらなく興奮した。


「…したい?」愛穂が聞く。

「この間はごめん」

「大丈夫。」

「悲しかったよな」

「ちょっとね」

「ごめん。」

「また呼んでくれてありがとう」

「『ありがとう』なんか要らない。」


「……」

僕がキスしようとすると僕の手で口を抑えてきた。

その手を下ろして強引にキスした。


「ごめん、私、やられるの好きじゃない。」

「俺の上おいで。」


愛穂はベットに座る僕の上に乗った。

上から見下げられるのが心地よかった。


「ねぇ。翔にも翔のママにも言えないこと私なら言えそう?」

「聞いたの?」

「うん。」

「お前のせいじゃないから。」

「わかってる。何抱え込んでるの?」


愛穂は僕の顔を両手で支えてキスした。

不覚にも天使のように見えた。


「……。」

「やられた?」

「黙れ。」

「安心して。私は翔にしか興味無いから。」

「やっぱりな。」



―――――――――――二週間後、僕は何も言わず翔と真里亜の元から消えた。



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