第3話 大人の階段

―――――――――夜中の公園。

翔が高1。僕が高3の頃。


公園のベンチで寝転んでると翔が来て顔と顔がくっつきそうな距離で見てきた。

月の光で翔が凄く可愛く見えた。いつも可愛いけど余計にそう見えた。


「お前な、何時かわかってんの?」

「稜太こそ。」

「そうだな。」

「…ねぇ」

「ん?」

「キスしていい?」

「いちいち聞くな。」


翔は僕に柔らかく口付けた。


「…稜太、大好き。」


僕は下から翔の補聴器の付いた左耳に髪をかけた。

「相変わらず耳好きだね。」

「可愛いから。」

「ママに似てる?耳も。」

「うん。たまんない。」

「ママとしたでしょ?」

「最後まではしてない。」

「じゃあ僕ともして。」

「やだ。ガキとはしない。」

「2つしか変わらない。」

「生えてねーくせに。」

「剃ってる。」

「……え?」

「剃ってる。」

「なんで。」

「もじゃもじゃ気持ち悪くて」

「……見てやるか?」

「変態。」

「いつかは誰かに見られんだろ。先に見てやる。」

「稜太はやだ。イケメンならいい。」

「あーむかつく!」

「そんなに見たい?」

「いいよ。でかくされても困る。」

「すぐなるよ。」

「…あのな。可愛い顔でそれ言うな。ギャップきつい。」

「そう?」


「……」

また翔は僕に口付けた。


「稜太、大好き。」

「俺も。」




――――――――――――それからお互いなかなか都合が合わず、たまにこうやって夜中に会うくらいでまともにはあってなかった。僕も仕事を始めてまた時間が過ぎてった。



――――――――――――翔が高3の時。


「ねぇ。会わない?普通に遊ぼうよ。」


突然、翔から遊びの誘いが入った。


「いいよ。どこの公園?鬼ごっこする?」

「いいね。本気でやっていい?」

「ダメ。俺すぐ負ける。」

「本当に隠れるの苦手だよね。」

「こえーんだよな。暗いとこ。」

「じゃあ滑り台の下でイチャイチャする?」

「バカじゃねーの。入れねーわ。」

「じゃあどこでイチャイチャする?」

「しねー。」


「ていうか彼女できた?」

「真里亜で十分。」

「もう結構してるの?」

「いや?直接的にはない。」

「男と女だよね?だったらやる事ら1つじゃん。理解に苦しむ。」

「お前もお前で自分の母親と俺やってたら気持ち悪くない?」

「全然?他の人なら気持ち悪い。でも、稜太なら許せる。」

「あぁ…なるほどな。俺もそう。翔と真里亜なら許せる。可愛くて食べちゃったんだなって思うから。」

「ないねー、ママは僕をそういう可愛がり方はしないから。微塵も感じない。本当に可愛くて仕方ないって感じしか伝わってこない。」

「羨ましい限り。」

「稜太だって、真里亜からちゃんと愛されてるよ。」

「…足りないんだけどな。」

「足りないの?回数?」

「違う…。いい。伝わんないから。」



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