第七話

「Colonel先生、ちょっとお話があるんですけど、」


学年主任の先生に呼ばれ、私は彼女の元まで向かう。

一体何の話だろうか…。


「昨日まで教員が中々揃わなかったんですけど、今日はやっと皆さん揃ったので、

今日顔合わせを目的にご飯を食べに行こうかって言う話になってるんですけど、Colonel先生も一緒にどうですか?」


ここにはそんな取り組みもあるのか、中々いつも忙しくてまだしっかり挨拶出来ていない教員もいたからありがたいが、

…晩飯、か…、あ、ならばMajorにも色々と言わなければ。


「あ、急すぎて無理!とかだったら別にいいんですよ!行くかどうかは一応任意ですので、」


彼女はニコニコしながら、少しだけ気遣うようにして私に言った。

…いや、しかし、せっかくの機会だしなるべく早く沢山の先生と知り合っておきたい。

ここは、試しにMajorに訊いてみるとしよう。


「分かりました、少しお時間頂けませんか」

「全然構いませんよ!まだ時間はあるので、それまでにゆっくり考えて聞かせて下さい!」


ありがとうございます、と一言彼女にいい、私は一度自分の席まで戻り、携帯を手に取った。

Majorに、メールを送ってみよう。

あ、いや、電話の方が手っ取り早いか…?

…しかし、電話となると久しぶりで若干気が引けるな…。

メールを送ってみて、もしあまり早く返事がこないようだったら電話をかけよう。

Majorとのトークルームを表示させ、今の内容を簡単に書き込んだ。


『学校の教師達に今日の晩飯を一緒に食わないか、と誘われたのだが、Majorはどう思う?

もし嫌だったりするのならば正直に言って欲しい。』


よし、後は返事を待つのみ、か。

…が、その数十秒後、Majorからの返事はすぐに帰ってきた。


『いいですよ!せっかくの機会ですし、行って来て下さいよー☺️

僕の事は気にせず楽しんできて下さいね!😆』


返事早すぎないか…?たまたま携帯を見ていただけだろうか…、喜ばしい事ではあるが。

しかし、Majorにしてはすんなり受け入れてくれたな。それに、「僕の事は気にせず」と言う部分が、

…少し引っかかる。本当に大丈夫だろうか。


『本当にいいのか?本当の事言っていいんだぞ。』


心配になって、ついそう書き込んでしまう。

返事はまた早くに帰ってきた。


『大丈夫ですって!もしかして僕の事心配してくれてるんですか?😏

僕は全然元気ですし、本当に大丈夫です!😁

むしろ、先生の貴重な時間を奪うだなんて4とんでもないです!😅』


…、

そこまで言うのならば、大丈夫なのだろうか。

…信じるとしよう。


『分かった。感謝する。』

『はーい!!😊』


Majorの元気そうな文章を一目見て、私はまた学年主任の所へ向かった。

—————————————————————————

「宜しくお願いしまーす!」


その掛け声と共に、酒の入ったグラスがぶつかり合う。

相変わらず雰囲気の良くて居心地が良い。私もこれなら此処に居やすいと思った。

こうやって皆で集まって楽しそうにしてる様子を見ていると、軍に務めていた頃の記憶が蘇ってくる。

そうやって、私はまた染み染みと懐かしい気持ちになっていた。

これだけ教師達の雰囲気が良ければ、自然と生徒達もいい子達に元気に育っていくのだろうか…。

聞いた感じだと、私達が率いる三年生達はとてもいい子だかりだと聞く。一部不良はいるものの、結局はその子達も真面目で、不良と呼べる程不良でもないらしい。

三年生の時期は、感情のバランスが取りにくい子達で溢れていると思うが、

…私もそんな子達の支えになれるのならば本望だ。

—————————————————————————


「…あの、隣、いいですか?」


私が話しかけるとはっ、としたように、Colonel先生はこっちを向いた。


「あ、はい、構いません」

「ありがとうございます、」


私はそう少し控えめに言うと、Colonel先生の隣にそっと座った。

…まずは名前の確認…、


「Colonel先生、でしたっけ…?」

「はい、そうです

…すみません、まだあまり関われていなくて名前を覚えられていないんです」


Colonel先生は、少し申し訳なさそうにして顔を逸らしながらそう言った。


「あはは、いいんですよ。気にしないで下さい

私、kaityって言います」

「Kaity先生、ですか、

ありがとうございます。これからも宜しくお願いします」


そう言った後、私は一口水を飲んだ。

Colonel先生も釣られて酒を一口飲む。

…Colonel先生も皆と同じようにお酒飲んでるんだな…。


「お酒、強いんですか?」

「…どうなのでしょうか、時折バーに行ったりはしますが」


お洒落…、

凄く、良い趣味持ってるな…。


「お洒落ですね、

私、実はお酒があまり得意じゃなくて…」

「…そうなんですか

…気にしなくて大丈夫だと思いますよ。他にもそう言った人は沢山いますし、珍しい訳でもありませんから」

「…そう、ですかね

ありがとうございます」


そう言って、私はColonel先生になるべく優しい笑みを見せた。

Colonel先生は、私を見たまま軽く会釈をした。

…勇気を出して話しかけてみたけれど、やっぱりColonel先生は良い人に見える。

今回先生に相談がしたい事があったから先生の元へ来てみたけど、

…実はと言うと、半分以上はその理由ではなかった。

今週の月曜日に、突如私達の学校にやって来たColonel先生。

私は、この人を一目見た瞬間、何かいけない感情を抱いてしまったような気がした。

…私は、きっと、

毎日少しずつ、彼に恋を抱いてしまっている。

絶対に叶わない事だと既に分かっているのに、駄目な事だって分かっているのに。

…それでも、やっぱりそんな気持ちを制御する事は出来なかった。


「…えっと、今日は少し相談したい事があるんでけど、」

「はい、」


Colonel先生は、話を聞く表情で私に向き直った。

あんなに自分の事を自分で怖いとColonel先生は言っていたのに、私には、とてもじゃないがそんな風には見えない。

むしろ、怖いと言う印象は全くないぐらいだ。


「来週の木金は実力テストがあるんですけど、そのテストは教育委員会が作ってくれたテストで、

そのもう少し先の方にある第一回目のテストの話です

実は、私も此処に来てあまり間もなくて、一人で事を進めてしまうのはどうしても自信がないんです

…テストの問題構成とかは説明するので、お手伝いして頂けませんか…?」


先生は少し考えたが、すぐに返事を返してくれた。


「分かりました、またその時教えて下さい」

「ありがとうございます

直前に急にこんな話されても困るかも知れないと思ったので今言いに来ただけなんですけど、

…はい、またその時になったら言うようにしますね」


話を上手く伝えられなかった気がするけど、大丈夫だったかな…。


「分かりました、ありがとうございます」


彼はそう言った後、

自然に少し頬を緩めた。

私はそんな表情にソウルを大きく鳴らしてしまい、一瞬頭が真っ白になるが何とか持ち堪える。

…駄目だ。今でもこんなに動揺してるのに、

これ以上気持ちが高まったら、私どうしたら—————


「Colonel〜、なぁにそんなイチャついてんだよぉぉ」


すると突然、大分酔っ払ったMonocular先生がColonel先生に肩を組みに来た。


「な、おいっ、やめろっっ、全くそんなのではない!」


Colonel先生は結構嫌そうにその腕を解いた。

Monocular先生は飲み会に来るといつもこうなってしまうのだけれど、皆それをむしろ少し面白いと思ってしまっていて、特に誰も何も触れないでいる。

酔っ払ったから何か騒動を起こす、と言う訳でもないから確かにそっとしておいても問題はないかも知れないけど…。

…とにかく、頭が真っ白になって正直何も考えられないところにMonocular先生が来てくれてちょっと助かったな…。

と、と言うか、お互い敬語も使わないで、呼び捨て、なんだ…、

もう既に仲が良かったりするのかな…?


「あの、もう仲良かったりするんですか…?」

「え、あ、いや————」

「そぉなんだよぉ、俺達とっくに友達なってるもんなぁぁ」

「く、おい、やめろと言っているだろう!」


Monocular先生はまたColonel先生に肩を組もうとして、それをまたColonel先生は拒否しようとしていた。

そっか、Colonel先生にももう仲がいい先生はいるんだ。なら、私がそんなに話しかけに行ってあげる必要もない、かな。

…と言うか、何考えてるんだろ、私。

あーあ、ホント嫌になっちゃうなぁ…、

私ももっと楽な気持ちで居られたらいいのに…。

—————————————————————————

正直今日は皆に話しかけてもらう事が出来て楽しく感じたが、それにしても散々だったな…。

Monoが宴会であんな風になるとは予想だにしていなかったし、おまけにあんなにべたべた絡まれるとも思っていなかった。

…が、まぁ確かにまた仲良く出来そうな教員達も増えたし、全てが悪かった訳ではない、か…。それにしても、今度また宴会に行く時があるならその時もMonoに絡まれなければならないのか?

…勘弁して欲しいものだ、今日はそれだけでも大分疲れたと言うのに。

そう心の中でブツブツと呟きながら、家のドアを開けた。

部屋のドアを開けて中へ入り、荷物をソファーへ置いた。

…ん?

そう言えばMajorから「お帰り」も何も言われていなければ、本人も見当たらない。


「…ただいま」


普段あまり言わないが、Majorを探すように声をかける。

…が、やはり返事はなかった。


「…、Major?」


…何処に行ったんだ?

私は上着を脱いでさっき置いた荷物の上に被せると、Majorが居そうな部屋を探し始めた。


「Major、」


もう一度名前を呼んでみるが、…やはり、返事はなかった。

…おかしいな、まだ入浴中だったりするか?

そう思って、浴槽の更衣室のドアを開けてみるが、

…電気も付いていなし、どうやら使った後のようにも見える。

…もう寝てしまったか?確かに時間はもう十時になってしまっていて大分遅い時間にもなるが、

そう言えば、Majorへの『今から帰る。』と言うメールのへの返事も来ていない。

何か、あったのか…?

動揺で焦りが生じていく。

廊下を歩いていると、

ふと、寝室の横を通りかかった事に気が付いた。

まだ寝室は確認していなかった、か…。

不意に身体がそっちへ向きを変え、ドアノブに手を置いた。

そして、もし此処にいなかったら…、と言う恐怖感に襲われ、このドアを開ける事も透視能力を使う事も躊躇ってしまう。

……、

私はとうとう決意を決め、ゆっくりとそのドアを開けた。



「っ、っっ!」


Majorは寝室の中にいた。

私は胸を撫で下ろした。

…そうなる筈だったのだが、予想外過ぎる光景に、

私は唖然としてしまった。


「…、何を、しているんだ…?」


Majorは声を小さく上げて、暗闇の中でドアの前に立っている私に振り返った。

ベッドの上で前を開けた白シャツを着、驚いて大きく見開かれた目で私を見つめているMajorの手からは、

青く光り、どろどろになったソウルが覗いていた。

私はそれに目をやった後、またMajorを見つめ返した。

Majorは、身体がすくんで動かないとでも言うかのように若干震え、今にも泣き出しそうな顔で私を見つめ返していた。

私の身体は自然とMajorの方へ向かって行き、ベッドに身を乗り出して、Majorの手首を掴む。


「…ぁ、っ、ごめんなさぃ…っっ」


そう言った震えた声は、今にも消え入りそうだった。

私はMajorの、そんな様子を見つめ続ける。


「…何故謝る」

「ぅ…だっ、て…っ」


また震えた消え入りそうな声でMajorはそう言うと、目を逸らし、顔も横に逸らした。

私はそんなMajorに、黙って、ゆっくりと顔を近付けた。

Majorは更に顔を逸らした。


「……私が足りなかったのか」


それを聞くとMajorは、はっとしたような表情を見せた。

Majorは私の方を向こうとしたが、私はそれを阻止するかのように後ろに押し倒す。

少し身体が跳ねるのと同時に、Majorは僅かな声を漏らす。


「っ、先せ———」

「私が、足りなかったのか?」


Majorが私の名を呼び終わる前に、私はMajorの耳元でそう訊いた。

Majorは私の行動に身体をびくっ、と反応させる。


「っち、ちが———」

「違わないのだろう?何故正直にならない」


私はまたMajorが話終わる前に訊いた。

Majorは返す言葉を失ったのか、黙り込んでしまう。

私は少し身を起こし、Majorを見つめたままその辺に転がっていた、Majorのソウルに手を伸ばした。


「…そうか、だから最近のお前はやけに元気だったのか

そうだろう?隠すように、こそこそと…」


Majorのソウルに私の指先が触れ、Majorは甲高い声を一瞬上げた。


「…正直に言えばいいものの」


Majorのソウルを手で包み、手の平で遊ばせる。


「あっ、ん、うっ」


Majorは、抑えても抑え切れないとでも言うように喘ぎ声を出した。

私はそんなMajorにお構いなしで話しかけ続ける。


「まさかお前がこんな事をしているとは思わなかった

だが、お前が私を欲している事に気付けなかった事は謝る」


Majorは声を抑え続け、顔を真横に逸らしていた。

…全く、自分がしていた事を恥じ、実際望んでいた事をいざされるとこんな反応になるなど、


「…だが、本当はそれを隠さずに、自分で解決しようとせずに、

素直に私に伝えて欲しかった」


触れていたMajorのソウルに、指を食い込ませる。


「ひゃあっっ、んぅ、ぅ、」


私は手を動かし続けた。

Majorは顔を真っ赤にし、身体を酷く波打たせる。

…かなり欲求不満だったのか、まだ大した事はしていないのに凄い反応だ。

…、面白い。

私の口角が少しだけ上がったのを自分でも感じた。


「んっ、ん、うっ」

「どうした、声は抑えない方が身体に負担がかからないぞ。素直になれ

…前も、言った筈だろう?」


私はMajorのソウルを持っているもう片方の手を、指からMajorのシャツの中に入れ込み、ゆっくりと脱がそうとする。


「んっ、ぃ、いや、ぁ…っ」

「嫌?嫌と言う割には、抵抗する様子は見られないが

…何故そんなに対抗心を見せるのか」


私はそのまま手をシャツの中に入れ込み、下まで下ろした。

身体と服が擦れて、余計に声が抑えられなくなっている。

Majorの声と顔に、段々余裕がなくなっていく。

私はシャツを完全に脱がせ、その辺に放り捨て、

自分のネクタイを緩め始めた。


「これが望んでいた事なのだろう?なのに何故さっきから素直になろうとしない

…Major、聴いているのか」


緩めたネクタイをまたその辺に放り、自分のシャツのボタンを外し始める。


「もっと、私を見ろ」


逃げられないとでも伝えるように、見下ろすような視線をMajorへ向けた。

ボタンを全て外し終わり、自分のシャツもその辺へ放る。そして、改めてMajorの波打ち続ける体を、下から上までゆっくりと舐めるようにして目を通した。

私の手の中では、Majorのソウルを転がし続けている。


「ん、ぁっ、せん、せ…っ」


Majorは呂律の回っていない声で、また私の名前を呼んでくる。

私はその声がもっと聞きたいとでも言うように、更にMajorに顔を近付けた。

…可愛らしい。愛おしすぎて、

こっちまでおかしくなってしまいそうだ。

私はしばらくMajorを見つめ、少しだけ口の縁を舌舐めずりをした後、Majorと私の口を重ねた。

私の口の中で、Majorが僅かな声を漏らし続ける。

そして、一旦止めていたソウルを持っている手を、また動かし始めた。


「んっ、んうっっ、んん、」


私の口の中で、Majorは苦しそうに喘ぐ。

身体を波打たせ、私が掴んでいるMajorの手には、自然と力が入ってしまっている。

そんなMajorをもっと苦しめるかのように、私は重ねている口の間から舌を這いずり込ませる。


「んぅっ、うぅ、う、んっ」


Majorの身体は更に波打った。

身体が動いてキスがしにくく、私は更にMajorの手首を押さえ込む。

…そして、しばらく続けた後に私が顔を離すと、唾液がたっぷり付着した舌と舌が太い糸を引いた。

いよいよMajorの息にも余裕が見られなくなってきた。呼吸のリズムが不規則になり、多量の息が止めどなく吐き出されている。

私は、もう一度Majorの顔に近付き、口の縁に付いた唾液をゆっくりと舐め取った。

その衝動で、Majorはまた身体を大きく波打たせる。


「…ふ、いい顔だ

もっと、見せてくれないか」


私は不意に溢れた小さな笑いと共に、そう口から溢した。

しかし、Majorは未だ僅かに出続けている喘ぎ声を抑える事は出来ず、中々返事をしてくれない。


「…どうしたMajor

もうへこたれてしまうとは、少しばかり早すぎないか?ん?」


私の若干に上がった口角は下がることなく、気持ちも高ぶったままだった。

こんなに可愛らしい姿を見せてくれるのも、私とこうしている時だけであろう。

だからこそ、私はそんなMajorの可愛らしい姿を求め続けてしまう。

Majorは涙目になって、私を見つめ続けた。

そんな瞳でさえ、私は可愛らしいと感じてしまっていた。


「…何だ?…、

…次は、どうして欲しいのだろうか」


私は手に持っていたMajorのソウルを口元まで持っていき、唾液がたっぷり付いた舌で押し付けた。


「ひゃあっ、んぅっっ、」


Majorは目を見開いて、大きく身体を酷く反らせた。

…そして、ソウルに押し付けた舌を、ゆっくりと滑らせる。


「あっ、あぁぁあっっ、ん、んぅぅっ」


目を強く瞑り、更に海老反りになったMajorは、舌を見せながら甲高い声を上げた。

Majorのソウルに舌を滑らせた続け、同時にソウルから無限に溢れ出る液体を舐め取り続けた。


「あぁあっ、ぅぁあっ、んぅ、あ、」


Majorのソウルは、既に溶けるようにどろどろになっていて、持つのが難しい状態になっていた。

Majorのソウルを舐め続けるのと同時に、私の手からはソウルから溢れ出る液体がぼたぼたと溢れている。


「いっ、あっっ、ひゃあ、ああぁああぁっっ」


次の瞬間、

舐めていたMajorのソウルが、びくっと動いた後に一瞬だけ硬くなり、多量の液体が溢れ出す。

私は一旦Majorのソウルから顔を話し、口元を腕で拭った。

手からは、ソウルから湧き出た液体が多量に溢れ落ちている。

一息吐いた後に、ふと、Majorの方に目を向けてみる。

…Majorは、息を切らしながら目を瞑っていた。


「…Major、」


…さっき見た時から大体気付いてしまったが、

どうやらMajorは今の衝動で気を失ってしまったらしい。

…つまらないものだ。本番はこれからだったと言うのに。

私はMajorのソウルを元あるべき場所へ戻し、さっき放った自分のシャツを着た。

Majorが気絶してしまったから、結局服を脱ぐ意味もなくなってしまったな…。

そう思うと少しばかり寂しさを感じたが、

…続きは明日の夜、なんなら明後日の夜でも、

付き合ってやるとしよう。

気絶してしまったMajorにも簡単にシャツを着せ、明日の洗濯が楽になるようにベッドのシーツに出来るだけの処理をすると、

布団を持って来て、Majorに被せ、私もその中に入った。

…大分身体も落ち着いて来たのか、息は既に普段通りに戻っていた。

私は、今は眠ってしまっているMajorの目頭に溜まった涙を指で優しく拭ってやると、Majorの頬に優しくキスをする。

また離れて、Majorの寝顔を眺めてみる。

…、綺麗だ。

この世にこれ以上綺麗な寝顔が何処に存在するだろうか。

こんな存在が、今や私の手の中にあると思うと、心や脳内は幸せで満たされていった。

また明日、いつも通りの元気で可愛らしい顔を見せてくれ。

心の中でそう話しかけ、またMajorの頬にキスをした。

…すると、突如私の口から大きな欠伸が出てしまう。

実はと言うと、私も今日は疲れていた。

今の事で、余計に私の眠気を促進させた。

瞼が重くなっていくのを感じ、私は肩まで布団に潜り込んだ。


「…おやすみ、愛している」


小さく、Majorの綺麗な寝顔にそう話しかけた。

またMajorの顔の何処かにキスをしてやろうかと思ったが、睡魔によってそれは遮られてしまい、

とうとう私の瞼はゆっくりと閉じていってしまった。














…ふと、僕は目が覚めて、目の前にあるものを確認した。

…、目の前には、綺麗な先生の寝顔がそこにあった。

…僕は気絶してしまったのだ。自分でも分かっている。

…しかし、実はこれも考えの内だった。

僕は自ら自分に気絶するようコピー能力で脳を操り、一時的に意識を途切れさせた。

勿論理由だってある。

…これ以上、先生に好き勝手させない為だ。

先生にとって、飛びっきり予想外な展開を作る為。

そう、次は、

僕の番なのだ。

散々僕にしてくれた先生へ、お返しをしたい。

確かに、一人でやってる時に先生が突然部屋に入って来たのは驚いた。

夢中になっていて、先生が帰って来た事すら気付かなかった。

でも、正直言ってあの後僕の誘うような態度は、

ほぼ全て演技。今日の大佐は、まんまと僕の手の上で踊らされたのだ。

僕はベッドからゆっくりと身を起こし、先生の綺麗な寝顔に近付いた。

…僕の方から、自然と笑みが溢れる。

今まで先生が僕にしてくれた分は、

近いうちに、倍にして返してあげるつもりだ。

でも、本当は先生にお返しをしてあげるだけじゃない。

…本当の理由は、何よりも、

先生の、顔が見たい。見たくて堪らない。

あれだけ僕に攻めた事を言い続け、僕をあんなんにする程攻め続けてきた先生は、

逆に自分もそうされたらどんな反応をするのだろうか。…勿論そんなのは決まっている。

普段は見られない、今までにも見た事がない、

可愛らしい先生の姿が見られるに違いない。

僕の笑みはもっと強くなった。

でも、明日実行してしまうのは勿体ないし、僕ももう少し考えを練りたい。

…先生は、きっと明後日ぐらいにはお返しをしてくれるだろう。

…明後日、もしも先生が今日の続きを仕掛けてきたら、

先生への、お返し。

先生の綺麗な寝顔を見つめながらそんな事を考え、僕の身体は楽しみな感情で埋め尽くされていった。


「…楽しみにしてます

覚悟、しておいて下さいね

…先生」


小声で、そう先生に話しかけた。

そして、そのまま先生の頬に優しくキスをすると、

またさっき寝ていた場所へ戻り、改めて先生の顔を見つめ直した。

…僕はまた笑みを溢してしまう。


「…うふふ、愛してます

先生」


そう言い残して、僕もゆっくりと目を閉じた。

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