第二話

…目が覚めて、ゆっくりと身を起こした。

どうやら、今日も丁度良い時間に起きる事が出来たらしい。

…隣では、Majorがまだぐっすり眠っていた。

…、これまた可愛らしい寝顔を見せつけてくる。

また、そんな寝顔についキスをしてしまう。

…まぁ、これぐらいで起きないのは当然か。

そのまま、Majorの寝顔を見つめ続ける。

…そして、つい無意識にMajorの頭に手が伸びる。

が、やはり思い留まって、ぐっと抑えた。

どうせするなら、Majorが起きている時にしてみよう。反応も見てみたい。

…と、それは置いといて、今日は恩返しと言ってはなんだが、Majorの為に色々と頑張ろうと思っている。

特にプランは決まっていないが、まぁ、それなりに家事などを私が率先して行う、と言った感じだ。

私は布団から出てベッドを降り、Majorに布団を掛け直してやった。

今はもう11月前半ぐらいで、段々冷え込む時期になってきている。

寒さはあまり感じないが、スケルトンでも風邪を引く時はある。…Majorには、どうか健康なままでいて欲しい。

また少しMajorの顔を見つめた後、私はMajorを起こさないよう、そっと部屋から出て行った。

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「あれ、もう起きてたんですか?」


Majorが起きたようで、既にパジャマから着替えた状態で部屋に入ってきた。

私は、今丁度朝食を作り終わったところで、Majorの席と、私の席に具の盛り付けられた皿を置いた。


「おはよう、もう飯は出来てるぞ」

「あ…はい、ありがとうございます」


Majorは、そのまま席に座り、箸を手に取った。

朝はいつもしっかりしたものをあまり作らず、パンなどで済ませてしまうことが多いが、今回は少し張り切って料理までしてしまった。

…まぁ、私もMajorが此処へ来るずっと前から自分で飯を用意していたものだから作れない訳ではないのだが、

とりあえず、気に入ってもらえるのなら私はそれで構わない。

私もMajorの向かいの席に座って、箸を手に取った。

そして、Majorが私が作った料理を口に入れる。

…口に合うだろうか。

…すると、

Majorの顔がみるみるうちに笑顔になっていく。


「…わ、あの、凄く、美味しいです…」


Majorは、行儀良く口に手を添えながら、私に顔を向けてそう言った。

どうやら、私の料理はMajorの口に合ったようだ。

正直ほっとした。


「そうか、それなら良かった」


Majorの反応に夢中になっていた私も、思い出したかのように自分で使った料理を口に入れた。

…まぁ、自分の料理に毎度毎度美味いと思うわけではないし、いつも通りの味だ。

とにかく、私の料理を美味しいと思ってもらえたようで本当に良かった。

…これなら、今夜の晩飯も何とかなりそうだ。

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Majorが朝食を食べ終わった皿を流し台に戻しに行こうとする。


「後片付けは私がしておく。Majorはもう自由にしてもらっても構わない」

「えっ…、これぐらい僕もやりますよ」

「…今日の家事は、全て私に任せてほしいんだ

…、いいだろうか、」


Majorは、そうですか…分かりました、ありがとうございます。と言い、リビングへ戻って行った。

…一度美味い晩飯を食わせてもらっただけで恩返しと言うのは、もしかしたら意識が高すぎると思われるかもしれないが、

私的には、これだけでもMajorに恩返ししたい気持ちで一杯になっていた。

何だか、今までずっと必死にMajorを捜し回っていた事に、感謝されてあんなに美味い晩飯を作ってくれたと感じてしまい、とても嬉しく思ったのだ。

…こう考えると、恩返しに恩返ししているような感じになるな…。

…まぁいい、これは私の好意でやっていることだ。

やって損したり後悔することにはならないだろう。

せめて、この気持ちでいる今だけは優越感に浸らせてほしい。

それから、Majorは率先して洗濯仕事や色々な家事をしようとしたが、今日は一日私に任せるように伝え、Majorにはのんびりしてもらうようにしていた。

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時の流れは早く、もう昼食の時間になっていた。

勿論、昼食も私が作ろうと思っている。

さっさと食料調達しに行って、今頃腹を空かせているであろうMajorに飯を食わせてやりたい気持ちでいっぱいだった。


「Major、昼飯は何がいいか何か要望はあるか?」


とは言っても、私的にも何が作りたいとかそう言うのは特にない為、少しMajorからも情報を得ようと思った。


「…んー、そうですね…、あまり味の濃いものは今日は食べたくないですね…。さっぱりしたのがいいです」

「そうか、分かった」


さっぱりしたもの、か…。何かいい例はあるだろうか。

私は思考を巡らせながら家を出た。

…、あまりはっきりしたものは思い付かないが、軽く味付けした炒め物、と言ったもので十分だろう。

街に出て、私は家から一番近い店の中に入った。

…昨日Majorが買って来たものもあるし、以前から置いてあったものもある。調味料は買わなくて大丈夫だろう。

そうとなれば炒める野菜か。

とりあえず、色とりどりな野菜を適当に炒めて味付けすればいいだろう。

Majorのさっぱりしたものと言うのは、恐らくそう言うことだろう。

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「あ、お帰りなさーい」

「あぁ」


考え直してみれば、結構適当に食料調達をしてしまったが、果たして上手くいくだろうか…。

もういい時間だ、早速作り始めてしまおう。




…よし、こんなものか。

私は出来上がった料理を机の上まで運んだ。

Majorが、自然と匂いに釣られて机までやってくる。


「もう出来たんですか?」

「あぁ、食べてくれ」


Majorが席に座って、食器を手に取った。

…そして、少し見つめた後、ゆっくりと口に入れた。

…まぁまぁ、だな。


「…どうしたんですか?」


ずっとMajorを見つめていた私に、Majorは話しかけた。

私は特に動じる事なく、


「別に、どうもしない」


Majorは少し私を見つめた後、ふわっと頬を緩ませた。


「…、えへへ、美味しいですよ」


そう言って、また私の料理を口に入れ始めた。

…まぁ、Majorなら美味しいと言ってくれるのだろうとは思っていた。

別に、自分の料理にそれほど自信があると言う訳ではないが、…まぁ、

不味い訳ではないのだろう。

失敗した料理な訳でもないし、私が料理が出来ない訳でもない。

…自分のことは良く分からないが、Majorが不満なく食べられるのなら、それでいいだろう。

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そしてまた時が過ぎるのは早く、あっと言う間に十六時になった。

…そろそろ買い物をしに行くか。

…今考えると、昼も家を出てまた今から家を出るのは効率が悪いな。

明日からはもう少し考えてから動くとしよう。

また私は必要なものを持って、また家を出て行こうとすると、

…突然、

後ろから腕を引かれ、ふと、振り返ってしまう。


「…大佐、…」

「どうしたんだ」


Majorは俯いた顔を少し私の顔に向ける。


「…もう少しぐらい、構ってくれたって、

いい、じゃないですか…、」


また恥ずかしそうに俯き、Majorはそう言った。

…そう言う、ことだったのか。

…通りで、最近は少し元気がなさそうに見えたことだ。

私は黙ってMajorに向き直り、そっとその身体を抱き締めた。


「…気付いてやれなくてすまなかった。私はいつもMajorのことを分かってあげられていない気がする」


Majorは黙り込んだまま、私の胸に顔埋めた。

…まぁ、素直に言ってくれるだけまだいいと思うが…。

私は一旦Majorから離れた。Majorは泣き出しそうな様子ではなかったが、

頬を膨らませてほんの少し怒気を抱いているようにも見えた。

…そんなMajorの頭を見つめる。

…、

これで満足してくれるだろうか。

私は、そっとMajorの頭に手を置いた。


「、!!」


Majorは、頭に手を置かれるのと同時に大きく反応した。

そのまま軽く撫でてやると、もう一度Majorを自分の腕の中に包んだ。


「…本当にすまない。が、今日だけは私に期待していてほしいんだ

こう見えて、それなりに尽くそうともしている」


そして、Majorの頬に触れ、キスを交わした。


「帰って来たら、もう離れずにお前の側にいよう

…どうか、それまで私を見守っていてくれないか」


何か言いたげなMajorの顔を見つめた。

Majorはたじたじとしていながらも、言いたい事中々を発せない様子でいた。


「…愛している」


“行ってきます”と言うように、私はそう言い残して家を出た。

やはり駄目だな…、自分の事しか考えられなくなっている。もっとMajorの事も考えてやるべきだったか…。

そうとなれば、さっさと事を済ませて、早いところMajorの傍に居てやった方が良さそうだ。

私は改めて心を入れ替え、街まで向かう足を少し早めた。

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予定通り、早くに買い物を終わらせ、すぐに家まで戻った。

部屋のドアを開けると、待っていたかのようにMajorが私に振り返った。


「あ、お帰りなさーい」

「あぁ」


私は軽く返事をして、買って来たものをそのままキッチンの台の上に置いた。確認の為、もう一度時計に目をやる。

…丁度いい時間のようだ。もう作り始めてしまおう。

私は、最初に切る野菜と、包丁を引き出しから取り出した。


「大佐ー、」


Majorに話しかけられて、咄嗟にそっちに顔を向けた。


「何作るんですかー?」


少しニコニコしながら、Majorは私に訊いた。

今夜は、誰も嫌わないような御馳走を作る予定でいる。…楽しみにしていて欲しいところだが。


「お前は何を作ると思う」

「っえ?…あー…何、でしょうね…?」


Majorは少し首を傾げた。

満足させてみせる、どうか待っていてくれ。


「出来てからのお楽しみだ。私が作っている間にでも、予想しておいたらどうだ?

…まぁ、恐らく誰が出されても喜ぶようなものだと思う」

「?…分かりました。」


Majorは少しの間だけ私を見つめたまま、またすぐに笑顔に戻ってそう言った。

昼は割と軽食にしてしまった為、私が腹を空かせていればMajorもそのはずだ。

あまり時間はかからないとは思うが、腹が減ったと言わせてしまっては、それは私の料理に完全に満足だとは言えないだろう。

少しだけ急ぐようにしよう。

—————————————————————————

「出来たぞ」


私は机に二人分の出来上がった料理を置くと、そうMajorに呼びかけた。

はーい、とMajorは返事をし、少しだけ急ぎ足でこっちに歩いて来た。

Majorが席に着こうとすると、置かれている料理が目に入ったのか、動くのをやめてそれを見つめ始めた。

…見る感じだといい反応のようだ。あとは口に合うかどうか…だが。


「…大佐、ステーキですか?」

「あぁ、そうだ」


ステーキなら、Majorがどんなに好き嫌いが多かったとしても、絶対に嫌がらない料理だと思い、これを選んでみた。

ステーキが嫌いだと言う奴はそうそういないだろう。せいぜい、肉より魚の方が好きだと言う奴がいるぐらいだろうか。


「丁度お肉食べたかったんですよ!ありがとうございますっ」


…と言うのは嘘で、

正直なところ、Majorにはまた心情を読ませてもらっただけだ。

今のMajorは肉が食べたい気分だったようだから、肉を選んだ。

それだけのことだ。

Majorはその後すぐに席に着くと、

手を合わせ、早速私の料理を口に放り込んだ。

…まぁ、今回も失敗した訳ではない。

不味くはないだろう。

そう思いながらも、少し心配しながらMajorの様子を伺う。


「〜っ美味しいです!

あーもう幸せー…、」


そう言いながらMajorはまたそれを口に入れた。

…どうやらかなり満足してもらえたらしい。

それに、おまけのようなあの可愛らしい顔が見れただけでも、私の胸はやり甲斐と達成感と幸福感で満ちていった。

そんなMajorを少し見つめた後、私も自分の席に着き、自分の料理を口に入れてみる。

…うむ。悪くない、と言ったところか。

私は少し頷きながらまた料理を口に入れた。

…少しの間食べ続けていると、


「大佐、」


Majorに話しかけられて、正面に向き直った。

…Majorは、一口サイズに切り取られたステーキの刺さったフォークを私に向けていた。

私は、少しだけ胸をどきっとさせ、Majorの目を見た。


「…あーん、して下さい」


頭の整理が追いつかなくて、少しだけ思考が固まってしまった。

…こんなようなことは果たして今までにあっただろうか。…いや、ない。

しかしこのまま断るには申し訳ないし、Majorの気分に水を差すことになってしまう。

…いや、とりあえず、貰っておくだけしておこう。

私は、少しだけ机に身を乗り出して、

Majorのフォークに刺さったステーキを、そのまま口に入れた。

私が離れると、Majorは頬杖をついて満足気な顔で私を見つめた。

そして、


「ふふ、可愛い」


と、小さく呟いた後、改めて自分のステーキを食べ始めた。

私は口をゆっくり動かしながらMajorを見つめるままでいた。

口の中にあるものを飲み込むと、

…、


「…えへへ、どうしたんですか?冷めちゃいますよ」

「…あぁ」


…とあることを言おうとは思ったものの、ここで言うのは少し気が引けてしまい、口を継ぐんだ。

これを言ってしまえば、何だか私が負けてしまうような気がしたのだ。

…まぁいい。

Majorも、しばらく会っていなかった間に大分成長したのだろう。

私も一本取られる時が多くなりそうだ。




食器を洗い終わって、さっきからずっとソファーに座ってテレビを眺めているMajorに目を向ける。

タオルで手を拭き、Majorが座っているソファーの後ろへ歩いた。

…Majorは、まだ私に気付いていないようだ。

ソファーの後ろまで来ると、私はそのままMajorを背後から抱き締めた。

Majorが少し驚いた様子を見せ、絡められた私の腕に触れた。


「…大佐…?」

「今日はお前の為に色々と尽くしたつもりだが、

…満足はしてくれただろうか」


Majorは少し間を置くと、小さく笑い声を漏らした。

そして、私の方に顔を向ける。


「…えへへ、勿論ですよ

今日は満足です。ありがとうございました」


Majorは微笑みながら私にそう言って見せた。

…寂しい思いもさせてしまったようだが、最終的には満足してくれたようで安心した。

…私はそのままMajorの口に口を重ねた。


「それなら良かった」


それだけ言って、またMajorを抱き直した。

…はい、とMajorは返事をし、私の腕をぎゅっと抱き締めた。


「…大佐、」

「…何だ」


私は少し、横からMajorの口元に耳を傾けた。


「…、

今日の夜って、空いてますか?」


全てを察し、すぐにでもOKを出してやりたい。

だが…、今夜は、


「…お誘いか」

「…、…え、っと…、」

「…すまない、今夜は少し用事があってな

明日なら構わない」


Majorはガッカリしたように、

「そうですか…、」とテレビに向き直りながらと小さくそう言った。

断られると思っていなかったのか、Majorはかなり気を落としている様子だ。

…明日はちゃんと相手してやりたいところだ。


「…用事と言うのは、私は早いところ職業に就かなければならないから、

その為の単なる調べ物だ」

「…分かりました」


Majorは拗ねたような様子でそう言った。

…困った。こんな態度を取られては、私も放っておく訳にはいかない。

…、どうしたものか。

—————————————————————————

Majorは、まださっきと変わらない様子で、

おやすみなさい、と言って寝室に入って行った。

まるで泣き寝入りをするかのような様子だ。

私は寝室に入っていくMajorを追いかけるように部屋を出、寝室のドアを開けた。

…Majorは部屋の入り口に背中を向け、頭から布団を被っていた。

私はあまり音を立てないようにMajorが寝ているベッドまで行くと、そのままベッドに上がった。

そして、Majorの隣に、軽く寝そべった。

…、


「…用事あるんじゃないんですか?」


不貞腐れた口調で、少しだけ布団から顔を出し、私に背中を向けているMajorはそう言った。

確かに、今夜は用事がある。

だが、


「…ずっと寂しい思いをさせてしまってすまない

せめて、お前が寝るまで此処に居ようと思う」


…あまりに気を落としているMajorを、放っておくことなど出来なかった。


「…、」


Majorは返事をしないまま、また布団を深く被った。

…、相当寂しい思いをさせてしまっているようだ。

久しぶりにこうして会えて一緒に居られると言うのに、結局中々そうもいかないとなるとやはり気分も落ちてしまうか…。

私はMajorに近付き、後ろからゆっくりと、優しく、その小さな背中を抱き締めた。


「…そんなに拗ねることはないだろう

これからは、もう誰にも邪魔されなければずっと二人っきりで居ることだって出来る

明日でも、明後日でも、…もうずっと一緒だ」


Majorの耳元で、説得するように言った。

…Majorがまた少し布団から顔を出す。


「…もう、こっちの気持ちも知らない癖にそんなこと言わないで下さい」


…、ただ夜を一緒に過ごしたいと言う訳ではなかったのだろうか。

それにしても、あれからMajorはかなりものをはっきり言うようになったのだな。

私的には、むしろ素直でありがたいことだとは思うが。


「…、すまない

…けど、安心して欲しい

これから仕事も始まって家に居られない時間も増えるだろうが、お前から離れることは絶対にない

明日も、お前の傍に居よう」


私は、Majorを抱く力を緩めなかった。

…しかし、Majorは未だいじけているのか、動くことはなかった。

…身体を起こし、Majorの顔を覗き込んだ。

…、目を瞑り、寝息を立てて…?

…いや、これは寝たフリ、だな…。

…、何がそんなに不満だったのだろうか。

けど、私は、

そんなMajorでさえ、愛して病まなかった。

私はそのままMajorの頬にキスをしようとする。

が、


「っ!」


Majorが突然起き上がり、私に抱き付いてきた。

…何だか懐かしい気持ちになりながら、私もMajorの背に腕を回した。


「…大好きです」


拗ねたような態度は変わらなかったが、Majorは確かにそう言った。

私は、そんなMajorがとても可愛らしいと思うのが隠し切れず、頬を緩めた。


「私もだ、愛している」


しばらく抱き合った後、Majorは私は離れると、一瞬だけ私に目を向け、またすぐに布団を被った。

…私は、幸福感にに満ちたため息を一つ吐いた。

こんなに私のことを愛してくれる恋人は、今は何処へ行ってもMajorしかいないだろう。

そして、今Majorと愛し合えている関係。

私はなんて幸せ者だろう、と感じてしまっていた。

ゆっくりとMajorの頭に被った布団をめくると、今度こそ、Majorの頬にキスをした。

…大丈夫そう、だろうか。

布団を元の位置に戻し、部屋を出かけたところで、

もう一度Majorに振り返った。


「…おやすみ」


Majorに聞こえていたかどうか分からないぐらいの声量で、私はそう伝えた。

…もう、絶対お前から離れやしない。

約束して見せる、だから心配しないで欲しい。

そう心の中で残して、私は部屋を去った。

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