短編集

金持ち勝負

とある公園で、少年と少女が勝負を始めた。

勝負内容は至って単純、30歳になった時の総資産が多い方が勝ちと言うものだ、だが、お互いに対する煽り文句が激化した結果、勝者は敗者を奴隷に出来るというルールが追加されてしまった。

小学生時代は

少年は寝る間も惜しんで勉強して日本一の中学校に合格した。

少女は、両親の手伝いや地域のボランティアをしてたくさんのお小遣いをもらった。

中学生時代になると

少年は常に学年1位であり、生徒会長を務め、トップの成績で高等部に進学した。

少女は貯めていたお小遣いを使いたくさんの友達と遊び、そこそこの高校に進学した。

高校生時代には

少年は開業医を志し、国で1番の大学に進学した。

少女はたくさんの留学を経験し、あちこちに友人を作り。そこそこの大学に進学した。

大学時代

少年は研究室でもトップクラスの成績であり、卒業して直ぐに地元で1番大きな病院に就職した。

少女はたくさんのアルバイトを経験して、貯金額は400万を超えた。

勝負の日

公園には見違えるほど変わった少年と少女の姿があった。

あれから病院でコツコツと経験を積んだ少年は大病院の医院長になりその総資産は10億ドルを超えていた。

彼は勝利を確信しており、ポケットに婚約指輪を潜ませて敗北宣言を今か今かと待っていた。

しかし、少女は貯めたお金を全て自分磨きに当てた後、その美貌から中東のセレブの妻となりその総資産は少年の50倍以上であった。

ガックリと肩を落とす彼に勝者である彼女は、奴隷に最初の命令を下した。

｢今日から私と夫婦になって貰います。｣

驚いた少年は、震えた手でポケットから指輪を取り出して

｢喜んで｣

そう言って彼女の頬にキスをした。

そして今

2人は、浮気に怒れる石油王の奴隷として、ペンキの海に沈められていた。