第13話衝突、絶対強者

「これはこれは、千歳ちゃんではゴザラヌか~お久しぶりデスナ」

突然の乱入者に朗らかな声で応じる、それは強者の余裕の現れである

「せやね~ハルオちゃんが反逆者イレギュラーになってぶりやぁ」

こちらも敵意とは無縁の柔らかな声音である、その笑顔は上位者の傲慢であろうか?

端から見れば単なる世間話をしているように見えるが、その実どちらも全くの隙もなく相手を観察している

二人のただならぬ気配を察知して、疾風はやては戦闘に巻き込まれないように柱の陰に隠れる

無論それをハルオは察知してはいたが目の前の千歳せんしを前に隙を見せる事は不可能と悟って放置していた

次の刹那、互いがほぼ同時に攻撃を放つ、余りに速い攻撃の応酬、それでは決着はつかず苛烈な技の応酬に変わる

乙女の心射抜く百合ブラフマーアストラ

絶技貪蝕ノ黒薔薇ピラニアンローズ

衝突した矢は黒薔薇を散らし砕け散る、千歳はピンク色の百合の性癖オーラを、ハルオは虹色に輝く薔薇趣味ボーイズラブ後光オーラを纏い凄まじい圧力を発揮している

魔技赤魔薔薇ロイヤルデモンローズ

赤い薔薇から発生した薔薇BLの妄想を焼き焦がすように百合ガールズラブ奔流妄想が放たれる

焦がれる百合の妄執アグニガンディーバ

解き放たれた百合の妄執アグニ狂愛薔薇BLの花園を焼き尽くす

「なんの凶技青薔薇刺突ダガーローズ

飛来する凶器青薔薇を自然体から迸らせた百合の妄執アグニ狂愛だけによって焼き払う

「ならば・・・混沌薔薇の奔流ブラッドソーン

貫く百合の純愛ブラフマーアストラクンダーラ

極彩色の薔薇BLの奔流を乙女の純愛が貫く


百合性癖ガールズラブの総師と呼ばれる千歳の攻撃にハルオも負けず劣らず苛烈な反撃をする

「ヌフフ、そろそろ本気を出すとしましょうかナ?」

「せやね~お互い準備運動も終わったことやし」

どちらも涼しい顔だ、あれ程の技の応酬が単なる準備運動だと言うのだから最早、疾風はやてには理解の範疇はんちゅうを超えた文字通りに別次元の戦いである

美少女人形フィギュアの達人と呼ばれる某の力を思い知るでオジャル」

ばら蒔かれた美少女人形フィギュアがまるで銀河に輝く星々のように形を成し美少女人形領域アンドロメダネビュラを形成して行く

ハルオの両腕にはいつの間にか鈍い輝きを放つ鎖が巻かれていた、これこそ彼女自慢の美少女人形フィギュアコレクションを原材料に打ち鍛えた美しき少女達ネビュラチェーンである

「受け取ると良い、追跡する狂愛サンダーチェーン

右腕に巻かれた鎖の先に三角形の先端がついた攻めこそ愛スクエアチェーンがジグザグのまるで稲妻のような軌跡を描きながら迫り来る

対する千歳は掌の上の薄碧色のやじりを宙に浮かべその輝きを解き放つ

解き別つ百合の悲愛パーシュパタ

百合の関係ガールズラブとは時に悲愛や別離に繋がると云う別れさえも呑み込み許容する彼女の包容力の成せる技にさしもの攻める愛スクエアチェーンも目標を貫けず弾き飛ばされる

「ムウウ、留まるこそ不変の愛ローリングディフェンス

悲愛の波動を防ぐ為、ハルオは左腕の先端に球体がついた防御用の鎖である縛る不変の愛サークルチェーンを螺旋状に高速回転させて攻撃の余波を凌ぐ

「これ程とは、こうなれば奥の手でオジャル」

「ええね、それならウチも」

ハルオを中心に渦を巻き出した美少女人形領域アンドロメダネビュラは大きな荒れ狂う愛ネビュラストリームとなる

千歳も極限に達した百合妄想ガールズラブ不可視空間百合フィールドを展開して千歳を高く尚高く噴き上げて行く

極点の美少女愛ネビュラストーム

極めたる百合心マハーバーラタ


双方の愛が炸裂した後には何も残さなかった、双魚宮ピスケスは跡形もなく吹き飛んで消え失せた

「師匠、ハルオは?」

「うーん逃げられてしもたなぁ」

相変わらずあっけらかんと笑うその笑顔には掠り傷一つついてはいなかった

「さぁ、みんな心配しとるやろうから帰ろか?」

「はい!」

いつの日かこの笑顔に追いつく為に、そう決意しながら疾風はやては手を取り歩き出す

この日、難攻不落の薔薇魔宮ボーイズラビリンスの陣は攻略され、夢見ヶ丘イレギュラーハンター浦安地帯みつりんちたい攻略に大きなクサビを打ち込んだのであった

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