第12話激突、魔の薔薇の脅威

ハルオの電子迷宮ヴァーチャルラビリンスを突破した疾風はやては自慢の強弓に矢をつがえハルオに狙いを定める、対するハルオは薔薇の花を取り出し余裕の表情を見せる

最初に仕掛けたのは疾風はやてだ、その余裕を引き剥がしてやると言わんばかりに豪速の矢を放つ、しかしその矢はハルオの薔薇に簡単に防がれてしまう

「ムーン、腕はなかなかでオジャルなぁ」

しかしその程度は織り込み済み、第二と第三の矢を速射する、まるで同時に放たれたかのように二つの矢は同時にハルオに放たれるしかし

「なんと!」

射ち放たれたれた二つの矢は黒光りするマッスルの大男の胸筋に阻まれる

「フーム、これこそ魔技赤魔薔薇ロイヤルデモンローズナリ、薔薇の花粉はBLの妄想を形作り実体化するナリヨ」

実体と寸分違わぬ存在を妄想を具現化することで可能とする、その恐るべき妄想力に驚いていると次の攻撃が飛んで来る

「油断大敵ナリ~凶技青薔薇刺突ダガーローズ

飛来する青い薔薇を寸ででかわす疾風はやて、後ろをチラリと見るとそこには青薔薇ダガーローズが柱に突き刺さっていた

極限まで練り上げたBL妄想を青薔薇の形に変えて投擲とうてきする事によってどんな物体も貫く短剣ダガーに変える、正に神業である

(反撃しなければやられる)

覚悟を決めて己の思いを込めて弓を引き絞り全力の一矢を放つ

乙女の心射抜く百合ブラフマーアストラ

「ヌフフ、ならばこちらも絶技貪蝕ノ黒薔薇ピラニアンローズナリ」

お互いの必殺の性癖思いが極限まで高まりぶつかり合う、薔薇ボーイズラブ百合ガールズラブの衝突は激しい力の渦となって双魚宮ピスケスに渦巻いた

しかし疾風はやての放った一矢が徐々に黒薔薇ピラニアンローズに噛み砕かれ粉々に散って行く

幹部と一般生徒いつぱんへいの圧倒的差がそこにはあった

「なぜなのですか?」

「うん~?」

「貴女の趣味ぞくせい美少女人形フィギュアだと聞いています、なのに何故自身の性癖ぞくせいでもない薔薇趣味ボーイズラブで戦うのです?」

「ウーム対等に戦っているつもりのようデスナ?これこそ幹部と一般生徒いつぱんへいの圧倒的差だと言うのに」

そう、ハルオは自身の実力フィギュアをまだ発揮していないのである

「狩人がウサギを狩るのに本気など出さぬでオジャロウ?それと同じように拙者キミには美少女フィギュアを使う程の相手とは思ってないでオジャル」

それは疾風はやてにとって遠回しの侮辱である、しかし当の本人はそれが当たり前のように語る

薔薇趣味ボーイズラブでやられるならその程度でオジャル、そろそろ幕引きと行くとしますかナ?」

その瞬間、様々な種類薔薇BLハナビラ性癖が混じり合い花吹雪性癖の奔流となって疾風はやてを襲う

奥義混沌薔薇の奔流ブラッドソーン

ぼろぼろの体では抵抗敵わず疾風はやて混沌薔薇の奔流ブラッドソーンの中に呑み込まれて往くのだった


圧倒的な実力で捩じ伏せられた疾風はやて双魚宮ピスケスの中に踞って倒れていた、そこにハルオが近づきトドメを刺そうとする

「オヤオヤまだ生きているみたいデスナ?しかしその健闘も此処まででオジャル」

その時、空を裂く音が響き何かが飛来する、慌ててそれを避けて振り返るとそこに白いショートボブの眼鏡を掛けた女子生徒せんしが弓を構えて立っていた

そう、先程の空を裂く鋭い音は矢を放つ音だったのだ

「ムウ、オヌシ何者でオジャル?」

ハルオの叫びに少女せんしは強者の笑みで答える、疾風はやての眼には自らの最愛の師の姿が映り込んでいた

百合性癖ガールズラブの千歳ちゃんやで~お久しぶりやなぁ」

絶対強者ハルオの前に現れた絶対強者千歳は古い知人に挨拶を交わすような軽い口調でその叫びに応じた、しかしその闘志が陽炎かげろうのように迸り周りの温度が一段と上がった思いさえ抱かせる

双魚宮この地に、二人の実力者せんしが相対する、それは壮絶な戦いの始まりであった

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