第8話戦況混迷

巨貧両軍が浦安みつりの各地で戦果を上げ夢見生徒ハンターが戦線を押し返し出したという報告はハルオの部隊にも届き瞬く間に動揺が走った

ハルオの部隊でも腕利きの実力者だったリザドエロスが自身の部隊を引き連れ意気揚々と進軍し出した敵部隊を迎え討つ為に出撃した、しかし出撃した部隊はその僅か数分後に全滅したとの報せが届いたのである

それは余りにも早すぎた、彼女の部隊にはあの髪飾りリボンの神童とも評されるフログエロスや最硬の盾との異名を取りこの大隊内でも最強クラスの防御力を誇りその突撃力にも定評のあるタトルエロスの両雄を有する強部隊であることは皆が周知の事実である、そんなリザドエロスの率いる強力な部隊を僅か数分で撃ち破る等有り得る筈がない、各部隊から怒声が飛び交っていた

「あのリザドエロスとその部隊が敗れただと、ありえん!!」

「まだ出撃してたったの数分なのだぞ!」

「しかも神童フログエロスや最硬の二つ名を取るトータスエロスも居たのにか?」

「あの両雄に加え我が軍でも屈指の実力者だったリザドエロス迄もが・・・」

「どういう事だ、油断した程度では説明がつかんぞ!」

「それに加えコテツ様の軍団から出撃したキャメルエロスとフォックスエロスの両部隊からも通信が途絶えた」

「まさかあの二人までもやられたと言うのか・・・」

会議室の幹部達は言葉を失った、フォックスエロスは先の戦いで巨なる王向日葵の初撃で倒された生徒せんしだが着せ替えコーディネート趣味ぞくせいを持ちその高い実力から昆虫師団の別動隊の隊長に上り詰めた叩き上げの生徒せんしで皆から一目置かれていた

キャメルエロスは昆虫系の生徒せんしを好んで弟子に取るコテツが珍しく弟子に取ったラクダの特性を宿した生徒せんし下着アンダーウェア嗜好ぞくせいを持つ将来を有望視されていた若手の中でも名が通った本物の実力者であった

その二人迄もが数分ももたず敗れるという事実にさしもの幹部達も沈黙するしかなかった

「ウーン、リザドエロスは拙者の弟子だったのでその実力は良く知っているでゴザルよ」

発言したのはこの大部隊を預かるハルオである、他の幹部と違い悲観した様子は見られずいつものオタク口調で朗らかに語る

「皆の衆、一度の敗北をくよくよして落ち込んでは駄目でオジャルよ?」

「ハルオ様、しかし・・・」

「別に某達がみんなやられたわけでもないでオジャロウ?それにコテツの部隊からも増援が来ると報告がさっき入ったでオジャル」

「おお、それは素晴らしい」

「コテツ様の直下の部隊は精鋭が多く存在する、その部隊を振り分けてもらえれば未だ勝機ありということですな」

「ヌフフ、正にその通り、その上でまだまだ我が軍にも精兵は多くおるでゴザル、まだ焦る時ではないでオジャルとも」

流石に大部隊の指揮を任されているだけの事はありハルオの言葉に幹部達の顔にも安堵の表情が戻る、その時会議室に一体の生徒せんしが報告に現れた

「報告します、コテツ様の部隊の増援が到着致しました」

その言葉に各幹部達も喜びの声を上げる、ハルオはその部隊の隊長達を会議室に通すように伝える

「失礼致します、我等コテツ様からハルオ様の部隊に合流して夢学生徒イレギュラーハンターを討つように命じられました、どうぞよろしくお願い致します」

「ヌフフ、ようこそ、歓迎するでオジャルよ」

入って来たのは精悍な顔つきの昆虫型の生徒せんし達である、皆只者ではないオーラが立ち込めている

「おお、彼女達が!」

「これ程の精鋭ならば・・・」

そこに居並ぶ強者達を見てみな口々に讃えていた、先程よりも幹部達の瞳に希望が戻った事を確かめてハルオが発言する

「ではこれより夢学生徒ハンター達に対しての反撃作戦を立案しようではゴザラヌカ」

巨乳と貧乳、そして進撃を続ける夢見ヶ丘生徒イレギュラーハンターに対しての反撃を開始しようとしていた

戦いの趨勢すうせいは未だ決まらず、戦いの天秤は絶妙なパワーバランスで拮抗しつつあった

そして未だ浦安での戦いはその激しさを増して行くのだった・・・

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