第4話浦安激戦区

ギアの演説によっていち早く夢見ヶ丘学園に反旗を翻した浦安支部では日夜激戦が展開していた

そんな中、主力を担う一軍団が先の戦いでハルオの薔薇魔宮ボーイズラビリンスの陣で一軍丸ごと全滅したとの報せが電撃のように本校を駆け巡った

「流石に強力な生徒が多数存在する浦安支部そう簡単には落ちないか」

そう呟いたのは小麦色の褐色の肌をした少女、頭に大きな楕円形の帽子に一角獣ユニコーンのような純白の角飾りが伸びている

顔の上半分に一目を模した模様の入った金色の半面ハーフマスクを着けており下半身はやや機械的メカニカル半馬獣人ケンタウルスのような形状をした四足の脚を持った半身をしており、その腰には水色のフラフープが装着されている

彼女はこの浦安支部の攻略を任されている夢学の大幹部レイン、一角獣ユニコーンの特性をその身に宿す幻獣型生徒である

「状況はどうユニコーンエロス?」

彼女の怪人名を呼びながら入って来たのは性転換トランスセクシャル蜘蛛姫アラクネの異名をとる生徒リンダである

「アラクノエロス」

レインも彼女リンダの怪人名を呼びながら振り返る、両者は他の生徒にも名が知れた実力者である

その中でもリンダは性転換トランスセクシャルと云う他の生徒ハンター達からも理解が得られ難い趣味ぞくせいを持ちながら成り上がった腕利きである

彼女の提唱する競技ゲームで負けた男子生徒が性転換女になると云う突飛な修練に異を唱える生徒ハンターがいないのも彼女が弱小部隊の一生徒一兵卒から腕っぷし一つで登り詰めた偉大な幹部だからである

そんな彼女達が集められたのはこの浦安支部攻略のためであるのだがこれがなかなかの難題である

浦安は東京と並んで実力者が多くおり、その上で東京本校でも反乱軍イレギュラーが暴れている中で浦安に全軍を送れないという事も攻略難易度を上げていた

しかし上層部が浦安の攻略を急ぐのにはもう一つ理由わけがある、戦争が五月に始まり半月が経過してもうすぐ六月に入ろうとしていた

(夏コミか・・・)

上層部は夏のコミケが始まる前にどうにかして決着をつけたいと考えているのだ

「六月になれば早い者だと自分の作品を夏コミに出すために作業に取り掛かるからね」

自分もそうだと言わんばかりにリンダが語る

「夏コミって八月じゃあなかったかい?むしろ六月からは早すぎる気がするのだけど」

レイン当人はコミケに行ったことも同人誌を書いたこともないため良くその辺りは知らないがそこまで早く取り掛かる必要はあるのだろうか?

「甘いわね、確かに八月まではまだ時間があるけどその時間で自分の理想となるような作品を丁寧に仕上げるにはどれだけ時間をかけても足りないのよ」

そうらしい、自分は素人なのでそこのところ良くわからないがこの道のプロが言うのだからそういうものと納得するしかない

いつの間にか浦安攻略の会議は夏コミの心得を語る場所へと変貌していた


ユニコーンエロスことレインが夏コミに戦慄する中で浦安でも反乱軍イレギュラーの幹部達が集まりこれからの動きを思案していた

「しばらくはボクの薔薇魔宮ボーイズラビリンスの陣を警戒して向こうもそうそう動かないと思うでオジャル」

オタク口調で喋るのは先の戦いで多くの夢学生徒ハンター達を返り討ちにしたアリクイ型生徒ハルオである

「当分は膠着状態ですな、ならば我々も同人誌の制作に移っては如何か?」

対面に座す幹部の一人が提案してきた、どこも考える事は同じのようだ

「良いですね、ではそちらはお任せしてわたくしは皆さんに邪魔が入らぬようにして参りますわ」

幼い少女のような声で発言したのは此処に集まったメンバーの中でも飛び抜けて高い長身の女性だ、金色の長髪は腰まで届き頬に伸びる左右の髪がカールを巻いた見事なツインテールになっている

その身体の左右には六本の腕を生やし背後からも数十本もの多腕が伸びている

「ヌフフ、エリナ君が受け持ってくれるならば拙者達も安心ゴザルな」

エリナはギアと共に異世界からやって来た者達の一人でその実力は折り紙つきである

被虐マゾヒスト趣味ぞくせいを持ちながら退廃的デカダンス趣味ぞくせいの二つの趣味ぞくせいを極めた生徒せんしとして多くの者達から一目置かれている

「彼女が例の・・・」

「そうデスゾ、二つの趣味ぞくせいを極め己自身をツインテールに変えるあの伝説の修練を成し遂げた生徒せんしナリ」

全ての趣味嗜好ぞくせいりょくの中でも最強のツインテールを極めた生徒せんしに皆揃って羨望の眼差しを送る

浦安攻略戦は更に多くの強者が参戦し苛烈極まりない大戦争へと発展して行く

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