第2話無毛の戦乙女と浦安のゲリラコマンダー

夢見ヶ丘学園、通称夢学では今現在大規模な学校大戦が起こっていた、その理由は異世界からやって来た存在である架空の悪魔パラファラピヌのリーダーである紫色のギアによる生徒による生徒の為の生徒の学校と云う演説に端を発して独立を目指す敵性生徒イレギュラー人間的秩序ヒューマンバランスを護る夢学生ハンター達による学校大戦が巻き起こったのである

生徒達は個体差はあれど、皆己の殉じる趣味嗜好とは別にツインテール愛を胸に秘めて戦っている

これは現在夢学生が対峙している敵性生徒イレギュラー達も同じ事である

そんな中で己を貫く生徒が存在する、無毛の戦乙女ヴァルキュリアと呼ばれる生徒だ

つるりとした卵形のきれいな形の頭は無毛の異名の通り一切の髪の毛が無い、その信念スキンヘッドを生徒達は畏怖しまた一目置いていた

その実力は敵である元夢学生イレギュラー達にも知られているが彼女を畏れる者達ばかりではない

現在彼女が相対している浦安みつりんのゲリラコマンダーであるのり子は蜘蛛の特性を持つ実力者だ

未だ戦争の序盤であるが両者は激しくぶつかり合っていた

「やっぱり一筋縄じゃあいかないねえ」

つるりとしたスキンヘッドを撫でながら彼女が楽しそうに言う、久しぶりに自分と互角まともに戦える相手に愛杖である剃刀杖ブリューナクを握りしめる

対するのり子は浦安と云う密林でのゲリラ戦に置いて戦果を多く上げ浦安みつりんのゲリラコマンダーの異名を取る凄腕の生徒である

先程から部下達がゲリラ戦に翻弄されて攻めあぐねていた

「ゲリラ屋相手にまともな正攻法じゃあ通じないわけだ、なら戦い方を変えよう」

剃刀杖ブリューナクを天高く掲げ全てを無毛刈り取る輝きを全方位に向けて放つ

全ての密林を無毛の頭にするが如く放たれた鋭利で無慈悲な剃刀かがやきはまるで鉄壁の壁に阻まれたように防がれた

のり子の得意とする攻撃を概念的に絡め取る絡め取る雷ライトニングウェブである、自身がこの戦場に来る前に多くの生徒がこれで倒されている

ゲリラ屋なだけありなかなか相手は姿を現さない、翼で飛翔しようにもすでに頭上には絡め取る雷ライトニングウェブが張り巡らされている

「厄介だ、本当に厄介だ」

そう呟く声音はどこか喜悦を含んでいた、とはいえこのままでは形勢は不利である、しかし彼女も伊達に戦乙女ヴァルキュリアなどと呼ばれてはいない

「電磁の糸と云えど張り巡らす木が無ければ」

判断と同時に剃刀かがやきを先程より低空に飛ばす、狙いは木の下腹部、糸が張り巡らされていない場所に向けて放つ

「おぉ、なんと云う的確で冷静な判断力か、木の根元を狙ったか!」

花カマキリに似た白い花弁のようなスカートを履いて両の腕に歪曲した大鎌を持つ生徒が感嘆の声を漏らす

「私の剃刀杖ブリューナクの放つ剃刀かがやきは全てを無毛の更地だいちに変えてしまうのさ」

そしてツインテールのやや小型の生徒が姿を見せる、背中には大きな蜘蛛を思わせる外骨格装甲を背負っている


(思たよりやるやないか)

片手片膝を地面につけて眼の前の相手を鋭く睨む、正直ここまで粘るとは思っていなかった、今まで相手していた生徒はもっと簡単に撃破出来ていた、そのせいか久しぶりの強者に苦戦している

「ゲリラ屋の戦いを見せたろやないか!」

すかさず木陰に伏せていたコグモ爆弾を用いて撹乱しつつ絡め取る雷ライトニングウェブお放つがコグモ爆弾は剃刀杖ブリューナクから放たれた剃刀かがやきで瞬時に切断される

翼を広げ低空飛行をしながらライトニングウェブ《絡め取る雷》をかわして剃刀かがやきを放とうとする刹那のり子の背面にある外骨格から八本のクロー戦乙女ヴァルキュリアを襲う

これぞ彼女自慢の近接武装外骨格身体の一部である紫蜘蛛爪アラクノクローである

それを間一髪で剃刀杖ブリューナクで受け止めがてらに数本斬り飛ばす、両者距離を取るものの形勢不利と判断してかゲリラコマンダーのり子のほうが絡め取る雷を撒ライトニングウェブき散らして退却を図る

(正直、正面衝突はゲリラ屋の戦いやないなぁ)

久しぶりの強敵に少し残念な気持ちはある、しかしこのまま戦えばそろそろ敵の増援もやって来るだろう

だからといってどうという事はない、自分も全てを出した訳ではないし眼の前の相手が強者である事は認めるが負けるつもりは毛頭ない

だがこのまま戦えば多くの部下を失う可能性がある、今は一騎討ちの邪魔はしないだろうが敵の増援もそうとは限らない

それならここは被害を出す前に引いておくのが得策だ、それに敵の雑兵は多く倒したのだから


「逃げられたか」

正直もう少し意地を張って欲しかったが仕方ない、敵を撤退させる事には成功したのだ

「それにこの先は長いだろうからね」

戦争はまだ序盤である、被害が出ている以上はここで一旦態勢を立て直して次に備えるべきだ

敵が撤退した方向を見ながら増援の到着を待つよう部下に指示を出す

そう、これからが本番なのだ

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