第57話 直接対決

 ハジメの家。

 その、あるじ、ハジメの部屋。冷房をつけ、すずむハジメたち。しかし、外が暑すぎる。冷房が効いてくるまですこし時間がかかったことは言うまでもない。

「ふぅー」

「暑かったですね。ハジメさん。じゃあ、次は――」

「ちょっと。なぜ仕切ってるのよ」

「いいじゃないですか。さあ。今度は熱くいきましょう」

 仕切る死神しにがみちゃんに甘いナオキ。ハジメはうんざりしたような顔を隠さない。

「そう言うがな、そんなにホイホイ新作ゲームは買ってないぞ」

「別に、なんだって勝負しょうぶはできるのよ。ねえ、青井あおいユイ」

 マツの言葉に、死神しにがみちゃんが力強くこたえる。

「もちろんですよ! あの頃のわたしだとは、思わないことです!」

「よく張り合えるよなあ」

凛々りりしい青井あおいユイさんも、素敵すてきだぁ」

 ナオキはうっとりしていた。

「では、これにしましょうよ」

「いいですね。負けませんよ!」

直接対決ちょくせつたいけつですか。バチバチしてますね」

 ツインテールを揺らす死神しにがみちゃん。負けじとロングヘアを乱すマツ。ナオキは、にやけそうになる表情を元に戻しながら見守っていた。

「だから、ここ、ぼくの部屋なんだけど」

 ハジメの言葉は、虚空こくうへと吸い込まれたかのように消えていった。


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