第52話 三位決定戦

 三位決定戦さんいけっていせん

 梅沢うめざわアツシ対月山たいつきやまモミジ。

 どうみても、直前まで試合しあいをしていた月山モミジのほうが不利に見える。

 しかし、勝負しょうぶの世界は非情。そんなことはお構いなしに試合しあいが始まる。両者、一気に間合いを詰めた。

「それはそうと」

「なんですか?」

 フタバが首をかしげる。ショートボブが揺れた。

「不戦勝二回はおかしくないですか?」

 にっこりとほほ笑むフタバ。兄のことを兄と呼ばず、名前で呼んでいる。

「ハジメは、昔から殺気さっきが強いんですよ」

「はあ」

 ナオキは、これ以上聞かないほうがいいと思った。そんな雰囲気ふんいきがしたからだ。

 会話が止まったのを見計らって、ツインテールの少女が口を開く。

「もっと、ハジメさんのことを教えてください!」

「いいですけど。高くつきますよ?」

「ええーっ」

 死神しにがみちゃんはうろたえている。

「冗談です」

「あなたたち、試合しあいは見なくていいの?」

 マツは、ため息を吐き出した。しかし、マツも試合しあいを見てはいなかった。雑談に花が咲く。

 三位は、月山つきやまモミジに決まった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る