第48話 よろしくお願いします

 第三試合開始だいさんしあいかいし

 月山つきやまモミジ対ザ・レッド。

 解説の人がいないため、死神しにがみちゃんたちには試合しあいで何が起こっているのかわかりにくい。

 一人だけ名前が本名ではない人が出てきた。しかし、死神しにがみちゃんたちの興味はそこにはないようだ。

「女の人が出てきましたよ」

「本当だわ。大丈夫だいじょうぶかしら」

「どうでしょうね。応援しましょうか」

 ナオキが提案した。マツと死神しにがみちゃんから了承される。少女の目つきがけわしくなる。

「がんばれー!」

「負けないで。月山つきやまモミジ」

「が、頑張れー」

 ナオキは照れていた。それでも、全力で応援している

 応援の効果か、モミジはあまり攻撃を受けない。わりとあっさり相手を倒した。

 勝者、月山つきやまモミジ。


「すごい。勝ちましたね」

「そうね」

「でも、なんだか飽きてきました」

「まったくだわ」

「次、ハジメが出てきますから。もうちょっとだけ、耐えてください」

 ナオキは必死だ。


 ようやく控室ひかえしつから出るハジメ。と、あと一人。

おれの名は、田辺たなべホウサク」

「そうですか。よろしくお願いします」

「あ、ああ」

大丈夫だいじょうぶですよ。すぐ終わりますから」

 なぜか、ホウサクはごくりとつばを飲み込んだ。


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