第46話 あの手のやつ、何なんですか?

 第一試合開始だいいちしあいかいし

 竹山たけやまノボル対大川たいおおかわヒデノリ。

 二人とも、グローブとプロテクターをつけていた。

「あの手のやつ、なんなんですか?」

「そんなことも知らないの?」

「あれは、グローブですよ。青井あおいユイさん」

 ナオキが説明する。こぶしを傷めないようにつけている、いわばクッションのようなものだという。死神しにがみちゃんは、熱心に聞いていた。

「じゃあ、身体からだのやつはなんですか?」

「本当に、あなたってひとは」

 マツは、顔を手で覆って首を横に振っていた。事前に予習していないライバルをさげすんでいるようだ。ロングヘアが揺れた。

「あれは、プロテクターですよ」

 またしても、ナオキが説明する。なるべくケガをしないようにつけている、防具だという。死神しにがみちゃんが何度もうなずいて、ツインテールが動いた。

 四角い舞台ぶたいでは、激闘が繰り広げられていた。

 ノボルが正拳突せいけんづきをする。ヒデノリは左手でガードしていた。ハイキックを繰り出す。

 そこには、すでにノボルはいなかった。まわりがヒデノリにヒット。

 舞台ぶたいの上では、レベルの高い戦いが繰り広げられていた。

 勝者、竹山たけやまノボル。


「何かないんですか?」

「え?」

 控室ひかえしつで、ハジメからじゃっかん殺気さっきがもれていた。イメージトレーニング中の選手せんしゅたちに緊張が走る。

「暇なんですけど」

 大物感ただようハジメ。梅沢うめざわアツシは、冷や汗をかいていた。次の対戦相手でもないのに。


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