第37話 ポテトサラダ

 ポテトサラダとジンジャーチキン。ミニトマトとツナの塩昆布和しおこんぶあえ。

 あとは、おこめ

「いただきます」

「いただきます」

「いっただっきまーす」

「いただきますわ」

 ハジメの家。その台所。よにんがイスに座り、テーブルを囲んでいる。はしが皿に向かい、次に口に向かう。

「うーん。やっぱり、うまいな」

 ハジメがうなった。認めたくはなかった。しかし、認めざるをえない。

「いいですね。このポテトサラダ」

 じゃがいものほかに、玉ねぎときゅうりとニンジンが入っている。ナオキが舌鼓したつづみった。

「えへへへ」

「くっ。やるわね。青井あおいユイ!」

 死神しにがみちゃんは、ひたすら照れていた。


 歯磨きを終えたハジメ。

 そこに、自宅から戻ってきたナオキが加わる。

「帰ったのかと思ってました」

「はっはっは。そんなわけないだろ」

 ナオキはご機嫌だ。なぜなのか。その理由は、誰にも言っていない。

「一休みしたところで、つづきといきましょう!」

「負けないんだからね!」

 死神しにがみちゃんとマツは、まだ勝負をつづける気満々である。

「あのなあ。ゲームはお前たちの家でやればいいだろ」

「それはダメだろ!」

 口をはさんできたのは、ナオキ。

 突然のことに、ハジメはあっけにとられていた。言葉が口から出てこない。

「そうですよ!」

「ダメねえ」

 死神しにがみちゃんとマツのあいだには、温度差があった。

「ええっ……」

 ハジメは嫌そうな表情を隠していない。なぜ、家がたまり場にされるのか。心底うんざりしていた。

「というわけで、いきますか!」

「望むところよ!」

「お前らなあ――」

 ハジメの言葉もむなしく、勝負しょうぶはつづく。

 勝ったり負けたりしながら、ふたりの精神力は削られていった。

 そして、ハジメが殺気さっきを出すことなく、解散になった。


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