第36話 お米
「すこし早いですが、食材を買いに行きませんか?」
「えっ?
「また作る気か」
ハジメは、あまり乗り気ではない。理由は、台所を使われたくないから、ではない。これ以上関わり合いになりたくないからだ。
「認めるのはシャクだけど、おいしいものね。いいわ。行きましょう」
「そうなんだ。楽しみだなぁ」
「おい。勝手に決めるな」
「いいじゃないですか。どうせ、食べるものないんでしょ? ハジメさん」
「ない」
「決まりね。それじゃあ、この前のお店でいいかしら」
マツが勝手に仕切って、結局行くことになった。
「これにしましょう。あと、これも」
死神ちゃんが次々に材料をかごに入れていく。ここは前回も来たお店。いわゆるスーパーマーケットだ。
「いいけど、今回もパンか?」
「この、電子レンジで温めて食べるお米にしませんか?」
ナオキが
特に反論もなく、お米に決定。ナオキが、見てわかるほどはっきりと喜ぶ。
「日本を離れていたわけでもないでしょうに。なぜそんなに喜ぶのかしら」
マツの疑問に、ナオキが答える。
「
「そうなんですか」
話を一番真剣に聞いているのはハジメだった。
「自慢じゃないけど、飛び級して卒業したんだ。すごいだろ」
「自慢じゃないですかー」
「へぇ」
マツは、意味ありげにほほ笑んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます