第27話 ご退場願う

「だから、世界せかい命運めいうんについて、よ」

 細身の少女は、かがやひとみを一人の人物に向けた。

命運めいうんねえ……」

 その人物は、マツの話を信じていないようだ。

「ふっ。そうです。世界はわたしの手の中!」

 芝居がかった口調で、小柄こがらな少女が手をにぎった。こぶし身体からだの前でふるわせる。

「そこにどうしてぼくが関係してくるんだよ。一般人だぞ」

 ハジメは、至極当然しごくとうぜんの意見をべた。

死神しにがみに力を与えるわけにはいかないのよ」

「何を言ってるんですか。師匠ししょうにはいろいろと教えてもらうんです!」

 火花を散らす二人。

 静かになる男。ハジメのすべきことは決まっていた。二人にご退場願うのだ。

 ハジメの身体からだから殺気さっきがみなぎった。

「そろそろ、帰ってもらえるかな?」

「はい」

 死神しにがみちゃんは、恍惚こうこつの表情を浮かべていた。殺気さっきの出しかたはまだわかっていないものの、このまま教えてもらえればいつかつかめるかもしれないと思っていた。

「わ、わかったわ」

 マツは、ハジメの職業について誤解している。そのうえで、自分の使命と人命のあいだで揺れていた。天秤てんびんにかけてどちらかを選べるほど、達観たっかんしてはいない。

 ふたりは、いそいそとハジメの家をあとにした。それを、一人の男が見ていた。


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