第24話 世界の命運

 昼食を食べるハジメたち。肉じゃがだ。

 ひとつのテーブルに、よっつのイス。座るのはさんにん。みな、おいしそうにほおばっていた。だが、米は用意できなかったので、買ってきたパンをちぎっている。

「こんなことで、勝ったと思わないことね。死神しにがみ

「まあまあ。いまはのんびり食べよう」

師匠ししょうがそう言うなら」

「だから――」

師匠ししょうって言うなって言ってるわよ」

「あなたには言われたくないですね!」

 やはり、マツと死神しにがみちゃんは険悪けんあくだ。ハジメは頭を抱えていた。

「しかし、うまいな」

「でしょう。殺気さっきの出しかたも教えてもいいなんて思ったりなんかしちゃったりして」

「それとこれとは別問題だ」

 落ち込む死神しにがみちゃん。対して、マツは自慢じまんげな顔でいったん箸をめた。

「もっと別の話題はないのかしら」


 食べ終わり、歯を磨いた一行いっこう

 マツの歯ブラシは、ハジメが用意しなかった。持参していたのだ。

「マイ歯ブラシとは、わかってるね。伽藍堂がらんどうさん」

「そんな呼びかたじゃなくて、マツって呼んでよ」

 眉を下げるハジメを見て、死神しにがみちゃんがほおふくらませる。

「おマツ。次はなんの勝負しょうぶをしますか!」

「あら。嫌ねえ。勝負しょうぶしか頭にないヒトは」

 余裕を見せるマツ。見た目のとおり精神的に大人なようだ。

「それで、昼からどうするんだよ」

 ハジメの問いに、しばしの沈黙ちんもくが流れた。そして、答えが返ってくる。

「どうもしませんよ」

死神しにがみ、その答えでいいの?」

「やっぱり、何かしましょう!」

 即座に意見を変えた死神しにがみちゃん。そのひとみには熱い炎が宿やどっていた。もうひとりの少女と同じく。

「世界の命運をかけた戦いの始まりね」

「ただのゲームじゃないか」


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