第23話 料理

 料理の材料。

 牛バラ肉。じゃがいも。玉ねぎ。にんじん。絹さや。しらたき。砂糖さとう料理酒りょうりしゅ醤油しょうゆ。和風だし。ごま油。

 まずは、野菜を切る。玉ねぎはくし切り、じゃがいもは一口大ひとくちだいに、にんじんは乱切らんぎりにする。

乱切らんぎりってなんだよ」

「わからないわ」

「ああもう。わたしがやります!」

 死神しにがみちゃんは手際てぎわがいい。

 次に、中火ちゅうびねっしたフライパンにごま油を入れる。玉ねぎ、じゃがいも、にんじん、牛バラ肉を入れていためる。

いためるのは、さすがにできるぞ」

「アタシだって」

「なら、ふたりでやってください。お肉に火が通るまでです」

 ハジメとマツは、はしでフライパンの中身なかみぜはじめた。ぎこちない。

 そして、しらたきの下処理をする。40度くらいのお湯で洗い流し、臭みを取る。その後ほどよい長さに切る。

 死神しにがみちゃんが作業を終えたころ、ハジメとマツのいため作業も終わっていた。つぎの工程こうていに移る。

 しらたきと砂糖さとう料理酒りょうりしゅ醤油しょうゆ、和風だしを加えふたをする。じゃがいもに火が通るまで弱火でいためる。

 十五分、三人で雑談ざつだんしながら待った。

 じゃがいもに火が通れば、ふたを開け絹さやを加えさらに2分ほど煮詰につめる。

「もう完成でいいんじゃないか?」

「もうすぐですよ」

「もう、お腹ペコペコよ」

 うつわりつければ完成。

「できあがりです」

 死神しにがみちゃんは得意げな顔をしていなかった。さも当然という雰囲気ふんいきだった。

「へぇー」

「やるもんですわ」

 感心する二人。とくにハジメは、少女を見る目が変わっている。人間、ひとつはほこれることがあるもんだな、と思っていた。

「一度冷ますと味がしみこむんですけど、時間がないのでこのまま食べましょう」

 死神しにがみちゃんは、手慣れていた。


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