第22話 買い物

 もうすぐお昼。

「さて、今日は何を食べようかな」

「はいっ」

「ん?」

 元気よく手を上げた死神しにがみちゃんに、ハジメが反応した。

「今日は、お昼ご飯を作っていいですか?」

死神しにがみ一服盛いっぷくもる気じゃないでしょうね」

 なんのことだかわからないという表情の死神しにがみちゃん。マツは、自分の発言を恥じた。

「いまから間に合うのか?」

「はい!」

 元気いっぱいの死神しにがみちゃん。ハジメがあごの下を手でさわった。

「アタシ、料理だけはさっぱりなのよ。任せるわ」

「任されました」

 勝手に話が進んでいこうとしている。だが、とくに断る理由がないハジメ。

「わかった。頼む」


 徒歩5分もかからず行ける場所に、お店はあった。

 スーパーマーケット。

 いらっしゃいませー。という声は聞こえなかった。客が多い。いちいち対応している暇はないようだ。

「これと、これと、あとは、これ」

 手際てぎわよく、買い物かごの中に商品を入れていく死神しにがみちゃん。

 牛バラ肉や、じゃがいも、玉ねぎ、にんじんなどを買い込んだ。

 買い物かごはカートに乗せている。ガラガラと音を立てて、店の中を進んでいく三人。

「久々に来たな。ここ」

「油断しないで。ハジメ。死神しにがみ動向どうこうくばるのよ」

「妙なことはしませんったら。あ。これも」

 死神しにがみちゃんが、別の商品に手をのばした。

 ハジメの家には、砂糖さとうや塩などの調味料がない。ついでに買ったのだ。

 かろうじて、調理器具はある。

 買い物かごの中に料理酒りょうりしゅが入っていた。死神しにがみちゃんだけだと買えなかったところだ。ハジメが運転免許証うんてんめんきょしょう提示ていじして、ことなきをた。

 会計のあと、カートと買い物かごを店に返却した。

「これでいいのか?」

「いいですよ」

「そうなのね」

 三人で分担して、食材を持ち運ぶ。

 ハジメの家に戻ってきた。


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