第19話 ボードゲーム

 ハジメの部屋。

 相変わらず、物がすくない。目立つものは、TVと机、机の上にあるPCくらい。あとはベッド。

「じゃあ、二人で適当にやっててくれ」

 ハジメは投げやりだ。いつものようにイスに腰かけた。

「ダメですよ。師匠ししょうが一番大事なんですから」

 そう言われると、嫌な気はしない。ハジメは意外に単純な面がある。表情がゆるんでいることを自覚して、いつもの顔に戻した。

「一緒にするなら、このボードゲームはどう?」

 マツが持っているのは、ビデオゲームのソフト。本物のボードゲームではない。

「そうだな」

「決まりですね」

「負けないわよ」

 火花を散らす二人が、ほぼ同時にベッドに腰かけた。隣りどうしに。


 ボードゲームをゲーム機で再現したソフト。

 サイコロを振り、出た目にしたがってマスを進んでいく。

 所持金がプラスされたり、マイナスされたり。

 お金を使って途中のマスを占有して自分のものにし、通行料を取ることができる。

 さらに、たどり着くたびに位置が変わるゴールを目指す。

 そこに行くと所持金とあるものを交換できる。それは、ポイント。最終的にそのポイントが一番多い者の勝ちとなる。

「やるじゃない」

「負けないって、言ったわよね?」

「……」

 ハジメは、何も言わなかった。ただ、死神しにがみちゃんとマツが争っているのを黙って見ていた。

 結局、ハジメが勝利した。


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