第20話 人生相談

「ぼくの勝ちだ。帰ってもらおうかな?」

「そんな、ご無体むたいな」

「もう一度、チャンスを!」

 ハジメは、死神しにがみちゃんとマツの提案をどうしようかと悩んでいる。二人とも、ベッドから立ち上がってハジメの近くに立っていた。

「いや。もうゲームはやめておこう」

「そ、そんなー」

「何を言うのよ」

 死神しにがみちゃんもマツも、残念そうな表情をしている。綺麗きれいな顔がもったいなく思える。

「ゲームばかりしてるわけにもいかないだろ。ゲームしかないけど」

 ハジメの言葉に、死神しにがみちゃんが反応した。

「はい! 人生相談したいです。師匠ししょう

「だから、師匠ししょうって呼ぶな。ん? 相談?」

 ハジメにはひっかかることがあった。それは、死神しにがみちゃんの詳しい目的について。話を聞けば、何かわかるかもしれない。

「ハジメ。まさか、聞くつもりなの?」

 マツは、乗り気ではないようだ。

 その理由が、ハジメにはわからない。わからないこそ、知りたいという気持ちが芽生えた。

 死神しにがみちゃんが追い打ちをかける。

「お願いします」

「仕方ないな。言ってみろ。聞いてやる」

 死神しにがみちゃんの表情が、ぱあっと明るくなった。


「相談なんですけど、殺気さっきの出しかたについて――」

「また、それか」

「どうにかして、殺気さっきの出しかたを会得えとくしないといけないんですよ!」

 いつになく、死神しにがみちゃんは真剣だ。

「アタシは、それを阻止そししないといけないの。力を貸して。ハジメ」

 マツも真剣だった。

「なるほど。ライバル、ね」

 納得したハジメ。

「やっぱり、勝負しないといけませんね」

「望むところよ」

「それはやめろって言ってるだろ」

「はい」

「わかったわ」

 殺気さっきあふそうになって、二人は即座にしおらしくなった。


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