第16話 掃除

 掃除屋そうじやは、更衣室こういしつで制服に着替えた。

 普通に掃除そうじをするハジメ。

 まずはモップの水を入れる。消毒液もすこしだけ入れてうすめる。正式名称は知らないため、モップの入れ物と呼んでいる。

 入れ物には、しぼるためのパーツがついていた。あまり強くしぼりすぎると入れ物が割れてしまうため、加減していた。

 次に、玄関の掃除そうじ掃除機そうじきがけとモップがけ。

 移動用のシンクを厨房ちゅうぼうのある建物から運んでいく。エレベーターを使い、二階まで。

 玄関の外の掃除そうじ

 手すり消毒。

 今日はおもにユニットAの掃除そうじ

 居室きょしつ掃除機そうじきがけ。モップがけ。洗面台の掃除そうじ

 途中で30分おきに水分補給すいぶんほきゅうをする。

 ハジメの足音が静かなため、同僚に驚かれた。

「ちょっと、びっくりさせないでよ」

「ははは」

 笑って返したハジメ。同僚の佐藤さとうヒカリとは仲がいい。といっても、親子以上の年齢差がある。同僚はたいていおばちゃんだ。

 リビングの掃除機そうじきがけ。モップがけ。

 廊下ろうか掃除機そうじきがけ。モップがけ。

 リビングの洗面台の掃除そうじ

 ユニットがA・B・Cとみっつあるため、3日のローテーションになる。

 もうひとつのユニット、ショートステイの場所は、リビングが火曜日と金曜日。居室きょしつは頼まれたら掃除することにしていた。おもに午後から頼まれる。

 昼前に、食事を運ぶための配膳車はいぜんしゃを用意して、厨房ちゅうぼうのある建物に食事の入ったカートを取りに行く。

 ユニットAのテーブルに食事を置いたら昼休憩。配膳車はいぜんしゃの食事は、別の職員が二階へと持っていく。

「休憩に行ってきます」

「はい」

 返事をしたのは、時任ときとうアズサ。てきぱきしているもののきつい物言いをするため、ハジメは苦手としている。

 買ってきた弁当を食べてから、歯を磨いた。

 午後からは、まずは移動用シンクに食器を入れる。それを厨房ちゅうぼうのある建物に運ぶ。

「シンクを持ってきました」

「ありがとうございます」

 厨房ちゅうぼうのある建物の職員とは、あまり関わりがない。ハジメはその人の名前を知らなかった。

 水だけの入ったシンクを、今度は掃除そうじしている建物の一階に運ぶ。

 次に、ゴミ集めをしてから、ユニットのトイレ掃除そうじ

 そこからは、できていない場所の掃除をしつつ、汚れているところがないか見て回る。外の掃除そうじもおこなう。さらに、月曜日と木曜日に職員用と来客用のトイレ掃除そうじをしていた。

 仕事の終わり間際まぎわにモップを片づける。

 だいたいその繰り返しだ。

 そして、休日がやってきた。


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