第10話 認めたくない
「じゃんけんポン!」
「あいこで、しょ!」
「あいこで、しょ!」
「あいこで、しょ!」
「あっち向いて」
「ホイ!」
マツはハジメから見て右を向いている。
「じゃんけんポン!」
またも、
「あっち向いて」
「ホイ!」
「あ」
「やったー!」
勝負は
「くっ。認めたくないけど、腕を上げたわね」
「何やってんだよ」
久しぶりにしゃべったハジメ。あきれている。ふうーっと大きく息を吐き出し、いまだ散りつづける桜をちらりと見た。
二人は、がっしりと握手をすることもなかった。
「それで、このあとですけど」
「どうするの?」
「いや、普通に会話するのかよ」
ハジメのツッコミが追いつかない。
「
「だから、
マツの表情が変わった。ハジメのことを、
「行くわ」
「えっ」
ハジメは、マツの態度の変化にとまどっている。あまりに突然だ。それ以外に考えることは、集まった大勢のギャラリーのこと。どう収集をつければいいのかわからなかった。
「そうと決めれば、急ぎましょう。
「だから――」
「面白かったぞ。
「あんたも
などと、ギャラリーから声が上がった。なんと答えていいのかわからず、ハジメはあやふやな返答をするばかり。
「さあ。行くわよ」
その様子を、一人の男が遠くから見ていた。
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