第9話 伽藍堂マツ
「意外に人が多いですね」
「だから言ったのに」
ハジメと死神ちゃんは、近くの公園にいた。ハジメの家がある団地の南側。日当たりのいい場所だ。桜の花が散っている。
「
「ああ。花びらは大変だ」
何気なく口に出した言葉。しかし、
そして、ハジメは本当のことを言っている。両者のあいだには、いまだに深い
「ようやく見つけたわ!」
その人物を見て絶句する
何も言わない少女を見かねて、ハジメが口を開く。
「なんだ? 知り合いか?」
「どうも、はじめまして。アタシは
すらりとしたやせ型の女性は、
「そいつじゃなくて、
「
二人のあいだでバチバチと火花が散った。
「いったい何を始めるつもりなんだ」
「
「
二人がほぼ同時に言った。
「こんなに
ハジメはあきれている。どこかへ身を隠したかった。だが、このままにしておくと何をしでかすかわからない。
「じゃんけんポン!」
「あいこで、しょ!」
あいこからのじゃんけん。
「あっち向いて」
「ホイ!」
しかし、まだ終わらない。ハジメから見て
「じゃんけんポン!」
なかなか勝負はつかない。
桜が舞い散る中、ギャラリーが集まってきた。
「ハァ」
ため息しか出ないハジメ。真剣な表情の二人とは違って、眉が下がっていた。
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