第207節 首都決戦 (共闘討伐編62)
「それじゃあ、俺も帰らせてもらうわ。」
こうして俺も以前一度来たところではある新たな本部、正式な俺達の本部である総本部から自分の家に帰った。
夏休みも残り数日となった日、この日、俺達は表向きはアニメイベントで集団で向かっているように都心部へ向かっていた。
そして…良くか悪くか、俺たちを乗せた電車は突然脱線事故を起こし、電車は勢い良く横転した。
が、彩羅の未来視によって分かっていたのでタイミング良く乗っていた電車をホープの能力で包み、そして地面にも数センチ程度ではあるが、小さく空気の膜を張ることで電車の脱線事故による傷は最小限に抑えることが出来た。
「(彩羅とホープがいなかったら…。いや、それへ考えるな。今はどうやってこの車両から出て周りの乗客を巻き込まないようにするかを考えろ…。)」
等と照が考えていると次の瞬間、照達が乗っている電車の外から凄まじい爆音が聞こえて来た。
(何が起きているんだ?)
照の顔面に向かって木片が飛んできたのを照は右手ではたき落とした。
(おい。照、交代だ。)
「(分かった…。)」
「成程、確かに強い。…でも、どうやら、俺達が警戒していた奴じゃないみたいだな。」
「…そうだが、どうするんだ?」
「引きずり出すだけだ。」
「…随分と俺のことを下に見ているな。」
「そりゃそうだ。お前からは俺に以前勝った奴より強いとは到底思えないからな。」
「なら、その認識を覆すだけだ。」
「そうか、出来るんならやってみろ。」
照の体を使う望獣は兎のような脚力で力強く横転した電車の壁を蹴り、勢い良く数メートル離れた位置にいる男に向かって行き、そのままの勢いで頭突きをして、着地してからボソっと「兎頭き(ラビットヘッド)」小さく呟いた。
照の体を使う望獣の頭突きが当たった男の鼻は潰れ、鼻血が出ていた。
・
時間は少し遡り、照達の乗っている電車が脱線事故がが発生した直後、電車の外では。
通行人の女性からの通報で近くの病院から救急車と救急隊が事故現場に向かっていたところ近くのビルで大きな爆発が起こった。
「何が起きた…!」
「…分かった。」
「何と言っていた?」
「都庁近くのビルが爆破されたと。」
「分かった。そっちより、先に脱線事故の現場に行くぞ。」
「承知しました。」
そしてそのまま止まることなく救急車に乗った救急隊は事故現場に直行した。
すると、いつからかは分からないが、横転して電車の左側の回転ドアは下になっており、上になっている右側の開閉ドアから乗客達は多少の怪我はしていたが、冷静に空いている開閉ドアから脱出していた。
そして救急隊員達は避難している乗客達の具合を診ていった。
「こちらの方で最後です。」と、言って医師の下へ女子高生を連れて来た。
「分かった。」
女子高生は申し訳なさそうにしている。
「すみません。聴診器を使うので、恥ずかしいとは思いますが、胸を見せて頂けますか?」
「わ、分かりました。」と、女子高生は恥ずかしがりながら服をたくしあげ、医師に胸を見せた。
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