第206節 確認 (共闘討伐編61)
「そんな…。」と、小さく凍士が呟いた。
「つまり、俺も全力ではなかったというのはあるが、恐らく俺と同じ、若しくは俺以上に強い可能性がある。と、いうことだ。」
「では、僕等では勝ち目がないと?」
「そうは言っていない。勝つことの出来る可能性があるとすれば、奴、直属の部下…つまり、幹部を奴と離し、その上で各個撃破の上で、以前俺が教えた方法を使えば倒すことができるかも知れない…と、いうことだ。」
「成程。つまり、その奥の手を使わなけば僕らでは勝てない可能性が高いと、考えているんですね…。」
「そうだ。今言ったことはさっきも言ったことだが、あくまで俺の感覚に基づいた予想。話したことと違うかも知れない。が、頭の角にでも留めておいてくれ。」
会議室にいた者全員が首を縦に振った。
「今ので俺の用は終わったが、何かあるか?龍牙。」
「そうだね…僕からも一つ言っておこう。今回の戦い、恐らく、いや、間違いなく、被害は経済的にも戦略的にも甚大なモノになるだろう。それはここにいる者は勿論、ここにいない者も理解しているだろう。これを前提として聞く、少しでも命が惜しい等、怯えている者がいるなら名乗り出てくれ。別に責めるつもりはない、当然のことだからね。なんなら、今回の戦いはこの国の首都。つまり、この国の心臓だ。その思いは自然なモノ。改めて聞こう、少しでも命が惜しいとか傷つきたくないと怯えている者がいれば名乗り出てくれ。」と、広すぎる会議室全体に聞こえる大声で言った後、会議室全体を注意深く、ゆっくりと見回した。そして、名乗り出る者はいなかった。
「よし、いないな。では!我々はこの戦いに死力を尽くして勝つぞ!」
龍牙の言葉に触発され、会議室にいた者の士気は上昇した。
「では、今の会議で決まった作戦を其々の部下や仲間に伝えてくれ。…解散!」
龍牙の言葉の後、会議室…そして新しい本部に集まった者達は静かに其々の帰路へ着いていった。
「龍牙、お前に聞くがこの間本部に攻めて来た北玄とか言う、攻めて来た奴らのそして、その組織のトップと思われる奴と戦ったよな。正直言って今回の戦いで勝てるか?」
「うーん。正直に言うと分からないな。この前は成長したことでなんとか勝てたが、今回は街中だろうからなんとも言えないね。」
「そうか、分かった。しかし…悪いがお前は一人で動いてもらうことになる。負担を強いてしまって申し訳ない。」
「それはこちらこそだよ。今まで君には一人で色々な所へ行ってもらい、その場その場の状況の把握と、鎮静化させてしまっていたのだからかなりの負担がかかっていてだろう、こちらこそ本当に申し訳ない。」
「成程、責任を感じているのはお互い様みたいだな。」
「そうみたいだね。」
「それじゃあ、俺も帰らせてもらうわ。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます