第203節 顔合わせ2-2 (共闘討伐編58)

「そうか、感謝する。」

 「さて…そんじゃあ、本題に入るか。」

「…本題?」

「…そう、警戒するな。お前らに攻撃するつまりはない。」

「…ホントか?」

「…ホントだとも。俺はお前らに敵意を持っていないし、もし、そんなことを考えたとしてもお前らに勝つのは難しいからな。そもそも照、あいつがそんなことを許すわけがない。」

「そうか…。」

「それにアイツは、お前らにこう言ったはずだ。『知っておいて欲しい奴がいる』と、言っていた筈だ。」

「…!」

「待て、ということはお前が…いや、貴方が師匠の言っていた知っておいて欲しい奴…って言うのは…。」

「そう、俺のことだ。」

「 (思い返してみれば、妙な感覚だった。目の前にいるこの人からは猛獣と相対している様な緊張感や圧迫感があったのに、不思議と敵意や殺意は感じなかった…。)今、確信しました。貴方は師匠の別人格ですね?」

「そうだ。そして、照は俺のことを望獣(ぼうじゅう)と呼んでいたな。」

「それで…その…確認なのですが、別人格である望獣さんが僕等師匠が知っておいて欲しかった奴…で良いのでしょうか?」

「そうだ。そして、お前達の前に出ることは俺からアイツに頼んだことだ。」

 ここで龍牙が口を開いた。

「ということは俺達と基本、一緒に戦うのはアンタということなんだな…?」

「そうだ。そして、照には俺から事前に基本は見ている様、伝えてある。」

 望獣のこの発言に対して凍士が質問した。

「何故、師匠が観戦なのでしょうか?師匠はこの場にいる誰よりも強いんですよ?だったら、出し惜しみせず、参加してもらった方が勝率は上がると思いますが…。」

「そうか。まあ、その疑問も分からんわけではないが、そうしない理由は大きく2つある。」

と言って、続けてその詳細を語ろうとした時、火花が口を開き、望獣の代わりに凍士や会議室にいた話が理解できていない一部の者にも分かる様に説明を始めた。

「まず前提として彼がこの場にいる誰よりも強いのは自明、ここまでは全員分かっていると思うわ。」

 火花のこの発言に会議室にいる全員が首を縦に振った。

「それじゃあ、説明を始めるわね。一つ目の理由は照が敵方からすれば未知の敵、且つ、最大の難敵であること。ここまでで質問は?」

 火花の問いに飛びついたのは物一だった。

「火花さんの言うことは分かります。ですが、敵方にとっても最大の難敵というなら、出し惜しみせず、照さんに参加して貰い、敵方の頭を潰してしまう方が確実なのでは…?」

「その質問は当然のこと。けれど、だからこそなのよ。」

「どういうことですか?」

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