第199節 照対獣2 (共闘討伐編54)

(…そうか。さっき体が咄嗟に動いたのは体が本能的にこうなることを予感したからか。)

と、冷や汗をかきながら獣は思った。

「…意外と…いや、本能か。本能的に俺が放ったモノがヤバいと思った体が勝手に動いて回避した…って感じか。」

「…。」

「どうやら当たりの様だ。今の攻撃に対するお前の行動からしてお前自身分かっている筈だ。俺とお前の力量差が。」

「…っ。だが、それでも俺は続ける!」

「そうか、分かった。なら、満足するまで相手しよう。(…分かっていたことだが、コイツ本当に獣みたいなやつだな。それも実力があるから尚更、面倒臭い。)」

 獣は力強く武舞台を蹴り、高く飛び上がり、上がりきったところで照に向かって体全体を回転させながらキック仕掛けて来た。

 が、それを照は紅い玉を自身の前に設置し、獣のキックの速度が少し遅くなり、紅い玉を突破し、直撃しそうになったところを左手でしっかりと掴み、武舞台の左の場外に向かって投げ飛ばした。

 しかし、武舞台ギリギリに何とか着地し、バランスをとることで難を流れた。

 そこに追撃として照は右足を張り切り衝撃波を温風のとして飛ばした。

 そして温風の衝撃波が飛んできた獣はキックを放つ時の様に力強く武舞台を蹴り、勢い良く跳ぶことで温風の衝撃波の直撃による場外負けを獣は回避した。

 「…結構やるじゃないか。と、いうかいつの間にか俺はお前を超えていたんだな。」

「…ああ、そうだな。そして、今度は俺がお前を超える番だ。」

「だから、今回の戦いに参加したい…と、いうことか?」

「…ああ、そうだ。」

「…成程。お前がただ今回の侵略者達と戦いたいというわけではないことは分かった。」

「それじゃあ…。」

「だから、これから放つ俺の技に耐えるか、打ち勝って見せろ。そうしたら、考えよう。」

「…分かった。それじゃあ、さっさとやろう」

「ああ、そうしよう。」

すると、2人は互いに集中し、エネルギーを高め始めた。

 暫くすると2人の高めたエネルギーが夢の中の世界を揺らしはじめ、それは現実世界で寝ている照の体も細かく震えという形で現実世界にも影響を与えていた。

 そして、更に暫く経つと2人のエネルギーの上昇による震えが収まることで、現実世界の照の体の震えも収まった。

 すると今度は照は頭上に2つの大きな龍を作り出した。

 それに対して獣は左腕のみを限界まで硬化させた。

 そして互いに息を合わせた様に照は2つの龍を放ち、獣は力強く武舞台を蹴り、斜めに飛び上がったのと同時に体全体を回転させ、左拳を突き上げた。

 そして2つの龍と体全体の回転+強烈な瞬発力が上乗せされた獣の突き上げた左拳が激しくぶつかり合った。

 それによって夢の中では凄まじい爆音と共に巨大な爆煙が上り、現実世界の寝ている照の体は先程より大きく震えた。

 

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