第198節 照対獣 (共闘討伐編53)

「分かった。」

「じゃあ、審判は僕がやろう。」

「ありがとう、それじゃあ任せる。」

「ああ、任されたよ。それじゃあ、少し待ってくれるかな。武舞台とかの準備をするから。」

「ああ、分かっ た。」

「分かった。」

暫く経って…。

「よし、出来たよ。じゃ、2人共武舞台に上がって。」

照と獣はリタの言葉に従って、速やかに武舞台に上がり、3メートル程間を空けて互いに向かい合った。

 「それじゃあ、始めようか…。」

「その前に聞きたいことがある。」

「…何かな?」

「その…お前の横にあるデカいのはなんだ?」

「ああ、これ?これはね…勝手ながら君の記憶から良さげな物を再現したものだよ。」

「…ああ。何となく分かるが、それが合図なのか?」

「そうだよ。折角だから、雰囲気も君の記憶のアニメに近づけようと思ってね。」

「成程。(これは完全にあの某王道バトル漫画に出てくるヤツじゃないか…。)」

「質問はそれだけ?」

「…ああ。」

「それじゃあ、改めて…。試合、開始!」と、いうリタの声の後大きな音を合図として照対獣の試合が始まった。

 するとまず、照が逆鱗ノ鎧〈カグツチ〉+超速度特化〈トアイアル〉の状態に。

 獣は北の戦いでなった、動物のモールドの入った鎧を身に纏うことで、其々戦闘形態になった。

「(ここなら現実と違ってこの状態で長時間戦えるみたいだな…。)さ、来い。」

「そんじゃあ、遠慮なく…。」と、言うと獣は直線的ではあるが、凄まじい瞬発力で一瞬の内に照との距離を詰め、そのままの勢いで右拳でパンチを照の顔面目掛けて繰り出した。

 が、照はそれをトライアルの速度で回避し、逆に獣に左脚で蹴りを獣の右横腹にくらわせた。

 すると獣はそのまま横に4メートル程蹴り飛ばされた。

 照の蹴りをくらい、顔を歪めているものの、吐血などはなかった。

(…くそ。分かってはいたことだが、コイツ俺より強い。ここが夢の中だということを入れても予想より強い。)

「さて、今度は俺の番号だな。」と、言うと照は自身の頭上に鯨の形をした青い玉を作った。

「それは何だ?俺はそんなモノ知らないぞ。」

「そうか…。なら、これがどういうモノか身を持って知ると良い。」

「(…よく分からんが、ヤバいことだけは分かる少しでもダメージを抑えなくては…!)犀盾〈ライノスシールド〉!」

 獣は自分の皮膚を分厚く、硬化させた。

「鯨玉〈ホエールボール〉。」と、いうと照は鯨の形をした青い玉を獣に向かって投げた。

 すると獣は守りを固めても意味が無いということを本能的に理解し、咄嗟に玉の射程外に全力で回避したことでダメージを負わずに済んだが、当たっていれば勝負は決まっていただろう。

 実際、鯨の形をした青い玉が当たった跡には大きな穴のような凹みが武舞台に出来ていた。

(…そうか。さっき体が咄嗟に動いたのは体が本能的にこうなることを予感したからか。)

と、冷や汗をかきながら獣は思った。



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