第194節 小さな衝突 (共闘討伐編49)

「で。何故お前がここにいるんだ、龍牙。」

「何で…って、別にここに居たっていいだろ?別に邪魔になるわけでも、ないんだから。」

「はぁ…。今回は事前に連絡があったからいいものの、頼むから事前連絡なしで突然来るのは止めてくれ。折角、あいつらが集中していてもお前が突然来たら直ぐに集中が切れてしまうからな。」

「分かった、そうする。」

「それで、お前が本部を離れて平気なのか?」

「それは心配要らない。戦闘能力的にも、事務能力的にも信頼している者に任せているし、非常時には即刻戻るからさ。」

「なら良いが…。一応言っておくが、邪魔はするなよ?」

「勿論、何度も口煩く言わなくても分かってるよ。」

「そうか、なら良い。」等と話しているとセットしていたタイマーが鳴った。

「よし、終了。」

「し、師匠。聞いても良いですか?」

「ああ。」

「光侍さん達が対戦形式の修行をするのは理解出来ますが、何故、僕や報鳥さんまで対戦形式の修行に参加する必要があるのでしょうか?」

「そうだな…。お前や報鳥は殺し合いをする正に戦場にも出ている。だからこそ、お前や報鳥のような者には自分で戦える者等を見分けられるようにこういう場に参加して吟味できるようになってもらう為だ。理解したか?」

「はい、理解しました。」

「よし。では、解散!」

こうして照は自身が選んだ者達の成長を感じて少し浮き足だった気分で帰路に着いた。

 数週間後、8月も残り10日程度になり、照は今龍牙の自室がある本部に来ている。

 と、いうのも龍牙から伝えておきたいことがあるから本部にきてくれと連絡が入ったので、やって来たのだが…連絡をしてきた当の本人、龍牙が自室に呼んでおいて、来ていない。

(…何か面倒に巻き込まれているのか?)

 暫く待っていると堂々とした感じに龍牙が入って来た。

「申し訳ない。ちと、執務室で色々と仕事をしていて遅れてしまった、すまない。」

「遅れた理由は分かった。それは仕方ないな。それで、お前が俺に話したいことってのは?」

「ああ、最近のニュースで流れている事件のことは知ってるか?」

「…ん?ああ、外人のグループが意図的にあらゆる事故を誘発させている…っていう…。」

「そう、これから話すのはそれに関わることなんだが…。」

「…?遠慮せず言ってくれ。」

「ああ、実はな…その外人グループと僕の部下が居合わせて…という小さい衝突が頻発しているんだ。」

「…ほう。それで、瀕死になるような大怪我を負った者はいるのか…?」

「今…、報告されているのは数十件なんだが、その内の数件で瀕死の者が出ているが、その外人グループはあえて殺していないようだ。」

「成程。それで、その外人グループの目的は分かっているのか…?」

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