第190節 馬鹿な奴等 (共闘討伐編45)

照の発言に反応したのは昔照が慕っていた父親だった。

「逃げろって…、それは僕等に言っているのかな?」

「そうだ、それ以外誰がいるってんだよ。」

「成程、僕等を舐めているみたいだね。やれ」

この言葉を合図に夫婦が連れていたガラの悪そうな奴等が一斉に照達3人に向かって襲いかかって来た。

 照は軽く溜息を吐いてから「折角、態々警告してやったのに…阿呆な奴等…。」と小さく呟いた。

 ここで警察がやって来た。

「…なっ!警察!いつの間に呼んで…。」

 この母親の呟きに答えたのは彩羅だ。

「…私達は玄関を出る前にドアスコープで貴方達を確認して電話してから出て来たんです、分かりましたか?」

「…っ!私達は絶対に諦めないわよ!」

「あっそう。」

夫婦を含め、建物の前に並び道を封鎖していた奴等は全員警察に連れて行かれた。

 照は警察に連れて行かれるのを見ながらボソッと「本当に馬鹿な奴等…。」と小さく呟き、それに反応して2人も相槌を打った。

「はあ…。邪魔が入ったが、俺達も帰ろう。」

「そうしましょう。」

「同じく。」

こうしてハプニングを無事に回避?して照達3人は其々の家に帰った。

 その夜、俺は夢の中でリタに相談した。

「成程。つまり、昔君を虐めていた主犯の両親がガラの悪い奴等を連れて君を拐おうとやって来た、と。」

「そう。」

 「そして、その両親は君を虐めるように自分達が指示していたと明かして何がしたかったのか分からない…と、いう訳かな?」

「そうなんだ。俺的には恐らく俺を使って何か良くないことを企んでいたんじゃないかと思ってるんだけど…合ってるかな?」

「多分そうだろうとは僕も思う。けど、態々自分達から指示していたということを明かしたということは多分、君が信じていた少年が何故君を突然虐めるようになったのかを明かせば君の心を折って後で思ってもいない言葉で君を救って、恩というしがらみで君を自在に操ろうとしたんだと僕は思う。」

「成程…。」

「でも、今はそんなことを話している場合じゃないと思うよ。」

「そうか!」

「そう、メディアは殆ど報道していないし、実際この国は水面下で侵略を受けているんだからさ。」

「それもそうだな。それじゃあ、この話はあの夫婦が出て来てから聞くことにするよ。」

「うん、僕もその方が良いと思うよ。」

「相談に乗ってくれて助かった、ありがとう」

「当然だよ、僕は君の一部なんだから。」

「そうか。」

そして目を開けると既に太陽が上り、朝になっていた。

 「さて…と、今日も修行しないとな。」

場所は変わり、とある船内では。

 個々で照達を倒し、この国を侵略しようとしていた2つの組織のトップが顔を合わせていた。

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