第188節 光侍[こうじ]の試験2 (共闘討伐編43)

「さて…君の強さやイメージは分かった。だからさっさと終わらせようか。」

 照は右手の人差し指で小さな赤い玉を作り、光侍に向かって飛ばした。

 飛ばした赤い玉はあまり速くはないが、とても不規則で速度もそれなりに変化させることができるようになっている。

 照が飛ばした赤い玉を光侍は回避したり、能力を使って塞いだりしてダメージを少しでも浅く抑えようと努めたことにより、受けたダメージは全身打撲程度に抑えられた。

 「…い、今の玉は?」

「俺の能力で作った物だ。それにしても意外にやるじゃないか。」

「ありがとうございます。でも、まだいきますよ!」

「…そうか、…なら来い!」

光侍は目を瞑り、能力を使って両手足に光の装備をし、そのまま武舞台を力強く蹴り、その勢いのまま照に右拳で殴りかかった。

 が、照は左腕でしっかりと防いだ。

光侍は防がれてから更に速度を上げてあらゆる方向からパンチやキックを連続で繰り出した。

 が、照は先程と違い、今度は最小の動きで光侍の攻撃を全て回避した。

 「あ、当たらない!最初のパンチは当たったのに…!」

「お前、誰かとイメージトレーニングしたことないだろ。」

「…はい。」

「だろうな。攻撃力は結構あるが、機動力がお粗末過ぎる。ついでだ、教えてやろう。最初の攻撃は俺があえて左腕で受けたんだ。」

「それに僕は気付かず、続けて攻撃をしていた…と。」

「そういうことだ。そして、最初の攻撃でお前の攻撃力は分かった、だからその後…。」

「貴方は僕の攻撃を最小の動きで避けていた…と。」

「そうだ。そして、お前は俺の予想よりデキる奴だった。だから、一発だけ俺が直接お前に攻撃する。」

(今、この人と話して分かった。今までは本当に僕の実力を試していただけだというのに僕はこの人にダメージらしいダメージを与えることが出来なかった。…覚悟を決めるんだ!)

「さて、今の全力で俺の攻撃を防いで見せろ。良いな。」

「はい!」

照は右拳に火を纏った。

 それと同じく、光侍も能力で自分の前に壁を作った。

 照は光侍との距離を詰めて、そのまま火を纏った右拳を突き出してパンチを光侍の顔面に目掛けて繰り出した。

 パンチを繰り出すとパンチを繰り出した右拳が何かに当たり、『ドンっ‼︎』という大きい音を立てて、地下室中に音が響き、パンチの衝撃は光侍に響き、光侍の右頬から小さいが出血し、顔が若干強張り、少し身体が揺れた。

 そしてパンチが当たった何かから『ピシッ、ピシピシピシ…』と言う音の後、崩れる音がした。

「…成程、守りはあまり強くないな。良し、ここまでにしよう。」

「分かりました。」

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