第181節 九州にて…4 (共同討伐編36)
「俺か…?俺は四統のお一人、北玄(ほくげん)様の部下の1人で、北滅(ほくめつ)という。」
「そうか…、僕も一応名乗っておこう。名は物一(もいち)だ。別に覚えなくても良い。」
「…で、君は何故俺のところに来たのかな?」
「…何、簡単なことさ。お前、わざとその強い気配を放ち、僕等に威圧していたんだろ?」
「…何を言っているんだ?俺はそんなつもりはないが?」
「…ほう?では、お前が威圧していると僕等が勘違いしただけだと?」
「そうだ。」
「信用出来ないな、お前は突然僕に向かって攻撃してきたじゃないか。そんな奴の言葉を信用するわけないだろ?」
「…ま、そうか。だが、君が成長する前に摘み取らせてもらおう。」
男はさっきよりも早いスピードで物一に迫り、左手からパンチを繰り出した。
物一はさっきと同じように最小の動きでパンチを回避しようとしたが、北滅と名乗った男のパンチは物一の右頬に直撃した。
物一は男のパンチを喰らい、少し顔を歪ませた。
「…チッ、あんまり効いてねぇみたいだな」
「…なるほど、これが実践てことなのか。」
「あ?何言ってやがる。実践?違う、これは殺し合いだ。」
「…いや、お前にとってはそうでも僕にとってこの戦いは修行の延長でしかないんだよ。」
「使いたくはなかったが仕方ない、ここからは本気で行かせてもらおう。そして後悔しろ、この俺をその気にさせたことをな…!」
「そうか。なら僕も見せよう、僕の能力(ちから)を…!」
2人の決意と呼応する様に2人のエネルギーも急激に上昇していき、それと同時に周りの空気が細かく震え始めた。
そして空気の震えが収まった時物一からは薄くオレンジの光が、男からは薄く紫の光が放たれていた。
「…さ、始めようか。殺し合いを…!」
「殺し合い?ま、良い。さっさとやろうか。」
2人はまず、其々の体から出ている光を保ったまま近づき、光をぶつけ合った。
光の押し合いは若干物一が押し込んで、光は互いの体から出なくなった。
「…なるほど、結構やるじゃないか。」
「はあ、お前はまだ自分の方が上だと思っているのか…?」
「ああ、そうだ。まさか、今の押し合いで若干押していたから自分の方が上だってか…?」
「そんなつもりはない。さ、喋らずさっさと戦(や)ろうか。」
「装備、亀手(きしゅ)。」
男は両腕に亀の甲羅の模様の入った籠手を装備した。
「犀槍・双(ライノスピア・ツイン)」
物一は能力で犀の皮膚の模様の入った2本の槍を装備した。
「良い機会だ、ハッキリ言っておこう。これから起こるのは殺し合いではない、蹂躙だ。」とい物一の言葉をキッカケとして2人は同時に動き出した。
最初こそ男は物一の動きに付いて行っていたが、直ぐに対応出来なくなり、物一の言った蹂躙が始まった。
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