番外編5-5 内部探索、そして可能性
照は置いてあった紙を鞄に入れて、報鳥の捕えられている牢探しを再開した。
「…えと…、ここに来る時は左側から来たはずだから右側から探せば良いはず…!」
照はこの監視室から出て右側から報鳥の捕らわれている牢探しを再開し、今度は40分程探しまわって、ようやく人のいそうな牢を見つけた。
牢の中に入ると、そこにはかなり痩せこけた姿をした報鳥と気配すら今までの誰とも違う2メートルはありそうな者がいた。
「…お前、雄人に何をした?」
「何って…こいつの能力(ちから)の断片をいただいただけだか…?」
「…お前、何者だ?」
「何者って…酷ぇなぁ、お前、この俺を人前で堂々と消したよな…?覚えてねぇとは、これはあれか?いじめた側は覚えていないが、いじめられた側は覚えているっていうやつなんじゃねぇのか…?」
「ま、まさか…き、貴様はあの時俺が綺麗に消し去った…!」
「やっと思い出したか…でも、それも仕方ねぇな。今、お前の目の前にいる俺はあくまでもこの体の持ち主の意識がないところに俺の魂が入り、乗っ取っているに過ぎないからな…ま、致し方無し…だな。」
「…お前、また、俺の仲間(かぞく)に酷いことをしようとしているのか…?」
「…いや、そんなつもりはない。俺もボスからお前達とは今、共闘関係だと知らされているからな、そんなつもりは無ぇよ。」
「…そうか。そんじゃあ、さっさとそこをどいてくれねぇかな。早くしねぇとまた、ブチギレそうだ。」
「ああ、勿論だ。すべきことはしたからな。空けてやるよ。」
(…なんだ、コイツは…前、俺に手も足も出せずに殺されたことを忘れたのか?いや、イカンイカン今は共闘中だ。堪えろ、俺。)
「分かった。そんじゃあ…回収するが、攻撃しようなんて考えるなよ…?」
「…分かっている。」
(何故分かったんだ?だが、今の状態では天地が、ひっくり返っても勝てない。いや、死ぬ。止めておこう。)
「それじゃあ、俺は失礼する。」
そう一言言うとそいつは照と報鳥のところから去って行った。
照は最後の最後、自分がいる施設からそいつが出るまで、警戒し続けた。
数分後。
(…。やっと、この施設から出て行ったか。)
「…だいぶ痩せこけているがまずは安否確認だな。」
照は耳を澄まして報鳥の呼吸音を聞こうとした。
報鳥は弱々しいものの、呼吸音が照の耳に聞こえた。
「よし、取り敢えず生きているな。次は本部まだ保つかを調べなくてはな…。」
照は温かいがなにか不思議な感覚を感じた。
「なんだ、これは…?温かいがそれ以外はよく分からん、不思議な感覚だ。だが、これなら顔色を良くして意識を回復させることができるかもしれない…。」
(正直、これは賭けだな…!だが何もせず、こいつを衰弱死させるよりはマシだ…!)
照はなんとも言えない不思議な感覚の中、付近の水分を操作し、報鳥の顔を含めた全身に送った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます