番外編5-3 じんわりと…3

「それは無理だ。」

「そうか…。なら、少し変えて3択にしてやろう…。」

 「…どういうつもりだ?」

「どういうつもり…って、さっき言った通り選択肢を2択から3択にしてやろう…って言ってんだよ。」

 「…何故そんなことをする?さっさと俺を殺して中を探せば良いだろ?」

「…いいや。さっき言っただろう?お前に選択肢をやるってよ。」

 「…そうか。一応聞こう、その選択肢…ってのは何だ?」

 「一つ目は、俺の新技の贄となるか、二つ目は、ここに捕らえている奴を連れて来るかだ。これはさっきも言ったことだ。そして…3つ目、それは俺をここに捕らえている奴のところへ案内することだ。」

 「…ふ、ふざけるな!俺は、俺達はあの方達に救われたことへの恩返しの為に従っている。決して、恐怖によって俺達を支配しているわけではない。それに、お前のような奴の言葉を聞くと思うか?」

 「そうか…。最後のチャンスだったのだが…残念だ。」

照は自身の頭上にあるエネルギーで作った青い鯨を男に向かって飛ばし、鯨は形をそのままに男を包み込んだ。

 「お、おい。これはどうなってんだ!説明しろ!」

照に男の声は聞こえず、鞄のポケットから少し小さいノートとボールペンを取り出した。

 (音は外にいる者には聞こえない。これは前に瓦礫で実験した時と同じだな。)

「メモメモ…っと。」

「おい!聞こえてんだろ!答えろ!これは一体…や、やめろ、入ってくるな…!」

  照の放った青い鯨は男の耳や口鼻等から水の様に入っていき、残りは男の皮膚を少しずつなくなっていく…。

 「お、俺の皮膚が!俺の体が…どんどんなくなっていく。わ、分かった!案内する!するからこれを解除してくれ…!」

  男の声は無情にも照には聞こえない。

(なるほど、無機物だと単純に外から溶かすだけだが、生物だと耳や口などから水の様に侵入して内側からも溶かすようだな。)

 男は声を出し続けて助けてもらおうと必死だった。

 しかし、残念ながら男を覆っている照が放った青い鯨の形をしたものは音を通さない為、男の必死の声は聞こえず、男の体は少しずつ消えていき…、消滅した。

 「なるほど…綺麗になくなったと言うことは腐食というより人間の食べ物の消化のようなモノなのか…メモメモ…っと。」

  照は新技の効果をノートに書いて鞄に戻してから施設の中に入った。

 中は刑務所の様になっており、かなり入り組んでいて迷路の様になっていた。

 「…はあ、どうなっているんだ。ここは迷路なのか。それとも刑務所型の迷路のアトラクションか?どっちにしても面倒だな…。」

 その後、数十分中を回ったが、報鳥が捕らわれている牢は見つからなかった。

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