番外編5-2 じんわりと…2
しかし、確かにその男は照の威圧で倒れなかった。
だが、男の表情や身体を見てみると意識を保とうとかなり必死だった様だ。
「…お前がここの番人か?」
「…そうだが?」
「それは嘘だな。」
「…‼︎何故そう思う?」
「お前では見掛け倒しだ。見た目は強そうだが、俺が威圧しただけで意識が飛びかけるような木偶では意味がないと言っているんだ。」
「何だと…?」
「そうやって直ぐに機嫌が悪くなるのも俺からすれば小物の特徴なんだよ。」
「…そうか。なら、試させてもらおう!」
そう言うと男は照との距離を一気に詰めて右手でパンチを繰り出してきたが、それは大振りだった。
「アホか!」
照は軽くいなしてカウンターを左の肋骨に入れた。
男は何を言っているのかよく分からない奇声を発しながら吐血し、倒れた。
照はツッコミを入れる程度のつもりでカウンターを放ったのだが、男が盛大に倒れて少し驚いていた。
「(なんだ…コイツ。見た目と実際の強さに開きがありすぎるだろ…。)」
「き、貴様、今、何をした?」
「ただ、カウンターを入れただけだか?」
「…は?何言ってんだ?」
「そうかそんなに頭が弱いのか…分かった、ハッキリ言ってやろう。お前と俺の差はただのカウンターが大ダメージになるほどの差があるんだよ。」
「…っ。」
「分かったなら、さっさと連れて来い!」
「だが断る。」
「そうか…。なら、選択肢をやろう。」
「…?」
「俺の新技の贄となるか、今直ぐここに捕らえている奴をここに連れて来るか…だ。」
「…、俺は死んでもここを守るぞ!」
「…そうか。なら、望み通りにしてやろう。」
そう言うと、照は頭上にエネルギーを鯨の形に変えたモノを作った。
「なんだ?お前の頭上にある青い鯨は?」
「ああ、これか?これは俺のエネルギーを鯨の形に具現化させた物だ。」
「それを俺にぶつけると言うのか…?」
「そうだ。そして、これは実験だ。」
「実験?何の…?」
「さっき言っただろ?俺の新技の贄となるか、さっさとここに捕えている奴を連れて来い…とな。」
「そう。お前はこの技を人間にぶつけたらどうなるのか…の実験台になってもらう。言葉通りの贄になって貰うってわけだ。」
「そ、そんな…死に方くらい自分で決めさせてくれ…!」
男はさっきの勢いはどこへ行ったのか…羞恥はないのか…、堂々と逃げようと走り出した。
「逃すわけねぇだろ…?」
照はそう言うと男の逃げる方向に怒のエネルギーを右手の人差し指と中指に溜めて、飛ばし男の逃げ場を奪ってから更に続けて下がる以外に選択肢がないようにした。
「…何がしたいんだ?」
「さっきから言っているだろう?ここに捕らわれている奴を連れて来い…と。」
「…それは無理だ。」
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