第174節 北にて…3 (共闘討伐編29)

「ほう…、侵略者にしては強いな。」

 「お前、俺達の実力があの程度だと思っているのか…?」

「違うならさっさと本気になってくれ。このままじゃ、まともな戦いにすらならない。」

「(こいつ…完全に俺達をなめているな…)良いだろう、そんなに潰されたいなら本気で相手をしてやろう。」

 「分かったからさっさと本気になってくれ、さっきも言ったがそのままじゃあ戦いにならないからな…。」

 侵略者の残りの5人は静かにエネルギーを高め始め、その高めたエネルギーは其々特徴のある姿になった。

 照の問いに答えた男は風を感じさせるモールド等の入った鎧を纏っている。

 そして5人の中で紅一点と思われる女は草花等自然を感じさせるモールドが入った緑に薄紅の入った動き易そうな鎧を身につけていた。

 「…ほう、結構な上昇率だな。これなら、戦いの実感が出るかもしれないな。」

 (なあ照、お前、俺と代わってくれよ。)

「(…分かった、代わってやるよ。)」

照の身体の使用権を獣に譲った。

 すると、照の身体に獣の牙を模した武器を両手に持ち、身体に動物のモールドの入った鎧を纏った。

 「なんだ…?あの男さっきと様子が変わったぞ。」

「ええ、そのようね。しかし、やることは同じよ。」

 「ああ、やるぞ。…風掌斬派(ふうしょうざんぱ)。」

風の鎧を纏った男が右手を突き出すと掌から風の衝撃刃を獣に使用権を渡した照のところへ飛ばしてきた。

 「…!」

獣は直感で男が起こした風の危険度を感じ素早く回避した。

 回避したことでダメージは受けなかったが獣の後ろの建物は豆腐の様に綺麗に縦に切れた。

 それを見た獣は冷や汗を掻きながら風を放った男は獣に問いかけた。

 「貴様、何者だ?さっきの奴とは違うようだが…?」

「俺か…?俺は獣(ビースト)、この体を使う者の1人だ。これで満足か…?」

「…ああ。それじゃあ、さっきの奴をさっさと引き出すとしよう。風掌斬波・乱(ふうしょうざんぱ・らん)!」

 男はさっきの建物をスパッと切るほどの風の衝撃刃を両手を使って連続して獣に向かって放った。

 「兎脚蹴り(ラビットショット)!」

獣は照の脚を兎の脚のように地面を蹴って男の攻撃を回避しながら近づき、男との距離が一定居ないになったところで照の脚を兎の脚の様にして縦てに4メートル程大きく跳び上がった。

 その後、斜めに降下し、男目掛けて兎の脚の様に飛び上がった脚で空中からの蹴りを繰り出した。

「兎突蹴(ラビットストライク)!」

「空風壁(ヴォーヴィス)!」

男は空気の風を纏った空気の壁を自分の前に作った。

 獣の速度と象のような重さが加った蹴りと男の風を纏った空壁がぶつかった時、辺り一帯に響くような音が発しそうな程の衝撃が走った。

 そこから互いに力を振り絞り戦い、少しずつ獣の空中からの蹴りは風を纏った空壁にヒビが入ったような感覚が男にはあった。

 「…!」

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