第166節 本部で…5 (共闘討伐編21)

そして、一定量になると振り返り、勢い良く地面を蹴り、互いの拳のぶつかり合いを合図として戦闘を再開した。

 暫くは互いの戦闘能力の変化を確かめるように激しくもどこか抑えた戦闘をしていたことで多少の出血はあったものの、致命傷になるようなことはなかった。

 そうした戦いをした後、互いの戦闘能力を把握すると互いにより攻撃的な姿に変化した。

 「双撃亀〈そうげき〉!」

男は鎧の両腕部分を分厚く、手の部分に鋭利な爪に変化させた。

 「龍鱗ノ籠手〈ドラゴ・ナックル〉!」

龍牙はドラゴ・アーマー改の両腕部分を籠手に変化させることで攻撃重視になった。

 2人の戦闘は激しいもので、互いに遠慮しなくなり、全身から先程よりも深く鋭い出血が戦闘の中で飛び交うようになった。

 2人の戦闘能力は拮抗しいていたが、男の回復力の方が高く、早く傷やダメージが癒えるため少しずつ龍牙は押されていった。

 「はぁっ、はぁっ、はぁっ…」

「…結構、やるじゃないか。だが、この俺を仕留めるには火力不足だな。」

 「…それはどうかな…?」

「…。」

  龍牙は籠手を少し浅く変化させ、そこに風を纏った。

 「属性付与、龍鱗ノ籠手・風〈ドラゴナックル・ウインド〉!…これなら、お前のその回復力をも上回れるのではないか…?」

 「…なら、試してみるんだな。」

「言われるまでもない」

 龍牙は先程よりも力強く地面を蹴り、男に迫った、迫ってくる龍牙を見て男は鎧の一部を甲羅模様の盾に変化させて、防御態勢をとった。

 「龍爪拳〈りゅうそうけん〉っ!」

龍牙は男の盾を突き破り、左胸に〈ドラゴナックル・ウインド〉の突きが直撃し、男の顔面の右側にアッパー攻撃を当てて、男は左胸のみならず、右頬からも出血し、右目も切付け、龍牙が攻撃したところは風の刃による追撃によってより深くくらい、男の回復力は大きく低下した。

 「…き、貴様…この俺の顔にこれほどの傷をつけるとは…。」

 「どう…?少しは見直したかな…?」

「…確かに、強いな。しかも、さっきの発言を考えるとお前よりも圧倒的に強い奴がいるんだろ⁈信じられん!」

 「そうか…なら、退いてくれ」

「断る。」

「そうか…分かった。」

龍牙は付与を解いて再び集中力を高めるのと同時に風を体全体に纏っていった。

 が、男は龍牙に攻撃を仕掛けようとしていたが龍牙の風の追撃の効果に、よって攻めることが出来なかった。

 そして、その間に龍牙は風を完全に制御することに成功することで、龍牙は一つ成長した。

 「…さ、これが、お前を再起不能にする姿だ。」

  男は分からなかった。見た目は当然として、戦闘能力の向上も感じなかったからだ。

 しかし、不思議な感じがした。

「(なんだ…?この感じは…、見た目は勿論、戦闘能力が向上している感じもしないのに何故か勝てる気がしない。)」

 「…何もないか。なら、これで終わりだ。」

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